ワシントンD.C.には斜めに走っている大通りがいくつもあります。その中にペンシルヴェニア通りという大通りがあります。合衆国議会議事堂から北西に向かってホワイトハウスの北側を通ってジョージタウンまで伸びています。
中でも合衆国議会議事堂からホワイトハウスまでの区間は大統領就任パレードが行われることで有名で、日本でも多くの方に馴染みがあるのではないでしょうか。
今回はペンシルヴェニア通りの中でも合衆国議会議事堂からホワイトハウスまでの区間を歩いてみたいと思います。
都市発展と共に歩んできた目抜き通り
ペンシルヴェニア通りはピエール・ランファンの都市計画の頃から発展してきた歴史ある大通りで、名前の由来は合衆国の首都がペンシルヴェニア州のフィラデルフィアにあったことに由来していると言われています。
初期の頃は石畳や木のブロックなどで舗装されていましたが、1876年に現在のようなアスファルト舗装になり、近年では2012年11月に再舗装されています。
歴代の大統領が通った道で歴史のロマンを感じる
合衆国議会議事堂からホワイトハウスまでの約1.2マイル(約2キロ)の道のりは、新大統領が就任パレードを行う場所として知られています。そこには数多くの政府関連施設や記念碑があり、まさに合衆国の歴史が凝縮されていると言っても良い場所です。
新しく就任した大統領は合衆国議会議事堂のイーストフロント中央口から階段を降りてリムジンに乗り、北ゲートからペンシルヴェニア通りに出ます。その後西に向かって走り、コンスティテューション通りとの分岐点でホワイトハウスがある北西の方向に向かって進んでいきます。
この区間には通りの右側にコロンビア特別区地方裁判所、ジョン・マーシャル公園、カナダ大使館、ニュージアム 、左側にはナショナル・ギャラリーの東館、連邦取引委員会があります。
コンスティテューション通りとの分岐点を過ぎて道なりに入ると、左側に国立公文書館 、ロバート・ケネディ司法省ビル、トランプ・インターナショナル・ホテル 、右側には海軍記念館、ジョン・エドガー・フーヴァー・ビル(FBI本部) があります。
中でも国立公文書館 とFBI本部ビル は見ごたえがあり、国立公文書館 は裏側になりますが、正面とはまた違った趣を感じます。FBIビル は他のビルに比べて一つの窓が小さく、1階と2階部分が全て空洞になっているなど、他のビルにはない特徴があります。まさに都市にある要塞といったところですね。
また、ヒルトン系列の高級ホテルブランドであるウルドルフ・アストリアは旧郵政省のビルで、建物全体が中世のお城を連想させるもので、外壁には曲線を多用したデザインがあしらわれています。
ウルドルフ・アストリア・ホテルを過ぎると通りは北西から西の方角に向きを変えます。この区間には右側に自由の広場とパーシング・パーク、左側にはロナルド・レーガン・ビル、ジョン・A・ウィルソン・ビル(ワシントン市庁舎)、商務省ビルがあります。
ここで注目したいのが自由の広場です。通りの右側にある巨大な長方形のスペースにはピエール・ランファンが設計したワシントンD.C.の地図が地面に描かれていて、当時の面影を感じることができます。議事堂から歩いてきた道をこの広場でもう一度歩いてみるのも面白いですね。
自由の広場を愉しんだ後は商務省の1階にあるホワイトハウス・ビジターセンターに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。そこにはホワイトハウスや歴代の大統領にまつわる資料が展示されています。また、奥にはシアターもあってホワイトハウスに関するビデオが上映されています。さらに、入口入って右側にはホワイトハウス歴史協会の公式ショップがあってホワイトハウスならではのお土産を買うことができます。中でも毎年クリスマスの時期に発表されるオーナメントは人気でここを訪れたら是非買っておきたいアイテムです。
ホワイトハウス周辺のペンシルヴェニア通り
商務省ビルの西を走る15番通りに差し掛かると地図上ではペンシルヴェニア通りは一旦無くなります。就任式の際、大統領の車列はこのまま真っ直ぐ進んでホワイトハウスのすぐ東の道、イースト・エグゼクティヴ通りを北上してホワイトハウスの北に出ますが、この通りは一般には解放されていません。そこで15番通りを北上して財務省の東側を回ってホワイトハウスの北側に行くことができます。
ちなみに、ペンシルヴェニア通りから15番通りを右に曲がらないで横断歩道を渡っていくとエリプスと呼ばれる広大な芝生が広がる広場に出ます。
そこにはエリプスで催されるイベントに関する展示があるエリプス・パビリオン、ナショナルクリスマスツリー、それから全米に広がる道路ネットワークの起点であるゼロ・マイルストーンがあります。
ゼロマイルストーンがある地点から北を眺めるとテレビでお馴染みのホワイトハウスのバルコニーとサウスローンを眺めることがでいます。
半円形のバルコニーはあまりにも有名で常に多くの観光客で賑わっていますが、ホワイトハウスに行くのであれば北側の正面がオススメです。15番通りを北上して財務省ビルの北を左に曲がると再びペンシルヴェニア通りに出ます。そこは政府関係の車両以外は入ることがないので歩行者は安心して歩くことができます。
ここからは議事堂から歩いてきた道で一番広い場所を歩いてホワイトハウスの北に向かっていきます。せっかくなので大統領が歩く真ん中を堂々と歩いていきたいですね。
ホワイトハウスは目前ですが、はやる気持ちを抑えて是非注目しておきたい場所があります。財務省の向かいにある連邦裁判所とラファイエット広場の間の通りにある街灯に注目してみてください。そこにはホワイトハウスの住所である「ペンシルヴェニア通り1600番地」と表記されています。ホワイトハウスと一緒に是非みておきたい場所です。
ラファイエット広場から通りを挟んで南側は今回のゴールであるホワイトハウスのノースローンです。ここからは南側からよりも間近にホワイトハウスを眺められますので、南側よりも常に多くの観光客で賑わっています。さらに、夜になるとライトアップされクリーム色に輝くレジデンスは昼間とは違った雰囲気があって一見の価値ありです。
ちなみに大統領就任パレードでは西側の正門から入ってレジデンスに横付けされますので、東西の正門と西側に隣接しているアイゼンハワー行政府ビル、そして向かい側にある迎賓館、ブレアハウスも是非観ておきたいですね。
ワシントンD.C.を象徴する大通り
ペンシルヴェニア通りはワシントンD.C.の歴史とともに歩んできた、まさに象徴的な大通りと言って良いでしょう。そこには数多くの見どころがあり、歴史のロマンを感じさせられます。
ワシントンD.C.に行ったらまず合衆国議会議事堂でバスを降りてホワイトハウスまで歩いてみたいですね。
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