ホワイトハウスはワシントンD.C.を訪れたら必ず行っておきたい観光スポットですが、現職の大統領が執務、居住する官邸であるため、周辺は常に厳重な警備で固められています。
そのため、多くの観光客は遠くから外観を眺めるのが精一杯で、建物の中に入れる機会はそう多くありません。
ホワイトハウスの内部を見学するには合衆国議会議員の紹介が必要となり、外国に居住する人はワシントンD.C.に駐在する所轄の大使館を通して申し込むことになっています。
ただし、日本大使館の場合は一般観光客向けにホワイトハウスの内部見学の申し込みを受け付けておらず、日本人にとって非常にハードルが高い場所となっているのが現状です。
そこで今回はホワイトハウスの内部をより身近に体感できるGoogle Mapのストリートビューを使って見学する方法を紹介します。
現地の様子を体感できるストリートビュー
世界中のあらゆる地点を実際に歩いているかのように体感できるGoogle Mapのストリートビューでは、ワシントンD.C.の街並みはもちろん、ホワイトハウスの内部も観ることができます。
ストリートビューで観ることのできる場所は、実際に観光客が見学するルートと全く同じコースになっているため、より臨場感ある体験ができるでしょう。
また、ストリートビューではホワイトハウスの各部屋に飾られている絵画や彫刻などの解説も見ることが出来るため、実際の観光では通り過ぎてしまいそうなポイントもしっかり押さえることが出来ます。
では早速ストリートビューでホワイトハウスの内部を観ていくことにしましょう。
見学のスタート地点はイーストウィングから
ストリートビューでは好きな場所からアクセスできるのが魅力ですが、より臨場感を味わうために、ここでは実際の観光コースと同じルートでホワイトハウスの各部屋を紹介していきます。
また、当方は2017年に一般観光客として実際にホワイトハウスの内部を見学していますので、その時の写真も併せて掲載しておきます。
見学者はまずホワイトハウスの東にあるイーストウィングに通されます。
ここはホワイトハウスに公式に招かれた人が最初に通る場所で、木をふんだんに使ったロビーは外観からのイメージとは異なり、重厚感に溢れています。
入り口のロビーには4つの肖像画が飾られており、入り口から向かって左側には、第40代大統領夫人ナンシー・デイヴィス・レーガン、第33代大統領夫人エリザベス・ワランス・トルーマンの肖像、右側には、第28代大統領ウッドロー・ウィルソン、第17代大統領アンドリュー・ジョンソンの肖像画が飾られています。
【ホワイトハウス内部見学】来客者用の玄関であるイーストウィング
ロビーを抜けると奥に大きな窓があり、そこからは大統領が居住するレジデンスとテレビでよく見かける半円形のバルコニーを間近で観ることができます。
大きな窓がある場所からは西に向かって真っ直ぐに伸びる回廊があり、かつて一般の見学者が最初に通された部屋である、ビジターホワイエに到着します。
こちらの部屋には西の壁に第16代大統領エイブラハム・リンカーンの胸像、東側と北側の壁には向かって右側から、第22代、第24代大統領グローヴァー・クリーヴランド、第30代大統領カルヴィン・クーリッジ、第12代大統領ミラード・フィルモア、第21代大統領チェスター・アラン・アーサーの肖像画が飾られています。
大統領が居住するメインハウス、普段目にする機会がほとんどない地階にある数々の装飾
ビジターホワイエから西側の扉を通れば、そこは大統領が居住するエリアがあるメインハウスです。
メインハウスはホワイトハウスの花形と呼ぶにふさわしい場所で、テレビでもよく目にする建物となっています。
しかし、その内部、特に地階と大統領が居住する2階より上のフロアはメディアを通して知る機会はほとんどなく、その様子は謎のベールに包まれています。
特に2階より上のエリアはシークレットサービスですらも立ち入ることはできないので、一般の観光客が目にする機会はありませんが、地階に関しては東半分が見学コースに含まれていて、その魅力を堪能することができます。
白い大理石の壁とアーチ型の天井が特徴的なセンターホールには扉から向かって右側に公式晩餐会で使われる食器の一部、反対側に、第43代大統領夫人ローラ・ウェルチ・ブッシュの肖像画が飾られています。
センターホールの北側には男性客用の控え室であるライブラリがあり、南側には女性客用の控え室であるヴァーメイル・ルームがあります。
ライブラリにはその名の通り、ホワイトハウスやアメリカ史にまつわる数多くの書籍が収められていますが、東側の壁と南扉の上には先住民の肖像画が飾られています。
ヴァーメイル・ルームは金色をふんだんに使ったきらびやかな内装となっており、四方の壁には6人の大統領夫人の肖像画が飾られています。
入り口から時計回りに、第31代大統領夫人ロウ・ヘンリ・フーヴァー、第36代大統領夫人クラウディア・テイラー・ジョンソン、第35代大統領夫人ジャクリーン・ブーヴィエ・ケネディ・オナシス、第37代大統領夫人パトリシア・ライアン・ニクソン、第34代大統領夫人メアリー・ジェニーヴァ・ダウド・アイゼンハワー、第32代大統領夫人アナ・エレノア・ルーズベルトの肖像となっております。
ストリートビューでは肖像画や彫刻などがある場所をクリックすることで、解説を見ることができますが、実際の見学ツアーではこちらのヴァーメイルルームはもちろん、北側のライブラリと西に隣接するチャイナルームは全て廊下であるセンターホールから眺めるだけなので、細かいところを観るにはストリートビューの方が優っています。
なお、西側に隣接するチャイナルームにはホワイトハウスの公式晩餐会で用いられる食器の数々が収められていますが、こちらの部屋には南側の壁に、第30代大統領夫人グレース・グッドヒュー・クーリッジの肖像画が飾られています。
また、チャイナルームの北扉のそばにもグレース・グッドヒュー・クーリッジ夫人が描かれた水彩画が飾られています。
【ホワイトハウス内部見学】普段目にすることの少ないレジデンスのグラウンドフロア
ホワイトハウスの顔と呼ぶにふさわしいステートフロア
センターホールから北に向かって伸びる階段を上に上がると、そこに広がるのはホワイトハウスの顔と呼ぶにふさわしいメインフロアです。このフロアは数々の国家的行事が執り行われることから、ステートフロアと呼ばれており、メディアで目にする機会が最も多いエリアになっています。
階段を登ってすぐ右に曲がると、ひときは天井が高く南北一面に広く取られた部屋に差し掛かります。
ホワイトハスウスで最も広く、格式の高いイーストルーム
こちらの部屋はホワイトハウスで最も広いイーストルームで、国賓との記者会見などが開かれます。
部屋にはほとんど装飾品がなく、一見するとただの広い部屋に思えてしまいますが、そこにはアメリカ史上重要な人物の肖像画が飾られています。
イーストルームの東側の壁には中心に窓を覆い隠すように配されている黄金色のカーテンがあり、その右側には、初代大統領ジョージ・ワシントン、左側には夫人のマーサ・ダンドリッジ・カスティス・ワシントンの肖像画、それらを挟むように南側には第26代大統領セオドア・ルーズヴェルト、北側には第25代大統領ウィリアム・マッキンリーの肖像画が掛けられています。
イーストルームをはじめとする国家行事で使われる数々の部屋があるステートフロアのもう一つの見どころとして、床に敷かれている絨毯があります。
実際に見学者が中にいる時間帯、これらの絨毯は端の部分が丸められ、観光客が登れないようになっていますが、ストリートビューではこれらの絨毯が広げられていますので、オンラインならではのメリットと言えるでしょう。
【ホワイトハウス内部見学】ホワイトハウスの顔であるイーストルーム
イーストルームの西側にはステートフロアの中心を東西に貫くクロスホールと、南側には東から順にグリーンルーム、ブルールーム、レッドルームがあり、西側には公式晩餐会で使われるステート・ダイニング・ルームとその北側にファミリー・ダイニング・ルームがあります。
イーストルームを見学した観光客はグリーンルーム、ブルールーム、ステート・ダイニング・ルーム、クロスホールの順で見学しますので、この順番で解説を続けます。
ヴィクトリア朝を思わせるグリーンルーム
グリーンルームは壁一面グリーンのクロスで覆われており、カーテンや絨毯などは全て緑で統一されています。
また、壁一面を覆っているクロスは遠目で見ると上下に波打っているように見え、その美しさには定評があります。
こちらの部屋には5人の大統領と1人の大統領夫人の肖像画、7枚の風景画、そして東側の暖炉の上には合衆国建国に多大なる貢献をしたベンジャミン・フランクリンの肖像画が飾られています。
東側の壁には右側から第23代大統領ベンジャミン・ハリソン、第11代大統領ジェームズ・ノックス・ポーク、北側には第6代大統領ジョン・クインシー・アダムズ、そして西側の壁には第9代大統領ウィリアム・ヘンリ・ハリソン、第7代大統領アンドリュー・ジャクソンの肖像画があります。
【ホワイトハウス内部見学】緑の部屋、グリーンルームが歩んできた歴史
ステートフロアの中心的なブルールーム
グリールームの西側にはホワイトハウスで最も美しいと言われているブルールームがあります。
こちらの部屋はレジデンスの中央部分、ちょうど半円形のバルコニーがある場所に位置しており、部屋の形もそれに合わせるかのように楕円形となっています。
グリーンルームや西側にあるレッドルームとは異なり、ブルールームは現在壁一面ブルーではありません。かつては壁一面ブルーだった時期もありましたが、1995年の改修によって現在の姿になりました。
ブルーとゴールドで彩られたインテリアは、煌びやかでありながら、曲線をうまく活かされていることも相まってエレガントな仕上がりになっています。
こちらの部屋には東側の暖炉から時計回りに、第5代大統領ジェームズ・モンロー、第27代大統領ウィリアム・ハワード・タフト、第10代大統領ジョン・タイラー、第2代大統領ジョン・アダムズ、第4代大統領ジェームズ・マディソンの肖像画が飾られています。
【ホワイトハウス内部見学】レジデンスの中央に位置するブルールームを味わう
コロニアル調のレッドルーム
ブルールームから西側の部屋に移ると、そこは一転赤の世界に変わります。
レッドルームは直線的なデザインの家具でまとめられており、また、それらの多くは自然の木の色を活かした作りになっているので、華やかな印象のブルールームやグリーンルームとはまた一味違った雰囲気です。
こちらの部屋には、第13代大統領フランクリン・ピアース、第19代大統領ラザフォード・バーチャード・ヘイズ、第4代大統領夫人ドリー・ペイン・マディソン、第18代大統領ユリシーズ・シンプソン・グラントの肖像画をはじめ、ナイアガラの滝などの風景画など、12枚の絵画が飾られています。
https://www.traveldc.us.com/ja-jp/gallery/fascinating-redo-room/
公式晩餐会などが行われるステート・ダイニング・ルーム
レッドルームから西の扉を進むと白を基調とした広い部屋に到着します。
そこはステート・ダイニング・ルームで、イーストルームと対の位置関係にあります。
ただし、イーストルームとは異なり、北側の壁はクロスホールと同じ位置にあるため、イーストルームよりは若干狭い造りになっています。
北側の壁には扉が東西に2つあり、南側から向かって右側の扉を越えると小規模の晩餐会で使用されるファミリー・ダイニング・ルーム、左側の扉を超えた先には地階のキッチンへと続く階段とエレベーターがあります。
ステート・ダイニング・ルームの西壁には暖炉があり、その上には第16代大統領エイブラハム・リンカーンの肖像画が掛けられています。
暖炉にはホワイトハウスの最初の主人となったジョン・アダムズの妻、アビゲイル夫人が夫に宛てて書いた手紙の一節である、「願はくはこの館で統治するすべてのものが賢く、かつ誠実な者であることを。」と刻まれています。
https://www.traveldc.us.com/ja-jp/gallery/state-dinging-room/
数々の歴史が交錯するクロスホール
ステート・ダイニング・ルームから東に進むとフロアを東西に貫く回廊に差しかかります。
クロスホールと呼ばれるこちらの回廊は、見学者がいる時間帯になると回廊のシンボルとも言える赤絨毯が東側に丸められ、絨毯の上を歩くことができません。
ただし、ストリートビューではもちろん赤絨毯の上も歩けますので、大統領になった気分で回廊の様子を愉しみましょう。
クロスホールに出てすぐ左側には第40代大統領ロナルド・ウィルソン・レーガン、相向かいには第35代大統領ジョン・フィッツジェラルド・ケネディの肖像画が掛けられています。
【ホワイトハウス内部見学】美と歴史が交錯するクロスホール、ステートフロアを貫く壮麗な回廊
なお、回廊の東側にもいくつかの肖像画が飾られていますが、こちらはストリートビューでも行くことができません。
クロスホールからはグリーンルーム、ブルールーム、そしてレッドルームにへと続く扉が各1枚づつありますが、実際の見学ツアーでは開放はされているものの、通り抜けはできません。
また、中央に位置するブルールームへと続く扉の上には大統領の紋章、向かって左側には4フィート×6フィートの星条旗、右側には同じサイズの大統領旗が掲げられています。
ホワイトハウスのメインホールと呼ぶにふさわしい玄関ホール
クロスホールの北側には広大な玄関ホールが広がっており、異なる色の大理石で覆われた床は鏡のように反射しています。
そこにはホワイトハウスのために特別に造られたスタインウェイ&サンズのグランドピアノが置かれており、東側には舞踏会の会場を思わせる赤絨毯が印象的な大階段があります。
大階段の右側には第42代大統領ウィリアム・ジャファーソン・クリントン、反対側の壁には第43代大統領ジョージ・ウォーカー・ブッシュの肖像画が飾られています。
これらの装飾はツアーの最後を締めくくるにふさわしい内容ですが、玄関ホールにたどり着いたら是非とも見ておきたいものがあります。
それはクロスホールと玄関ホールの間の床に埋め込まれている定礎版で、4つの年が刻まれています。
上から順に1817年、1792年、1902年、1952年と刻まれており、上の1817年は1812年から14年に掛けて繰り広げられた米英戦争で焼失したホワイトハウスが再建された年、1792年はホワイトハウスの建設が始まった年、1902年はセオドア・ルーズヴェルト大統領による大改修、そして1952年はハリー・S・トルーマン大統領による大改修の年を表しています。
【ホワイトハウス内部見学】玄関でパーティー?数々の大統領が通った華麗な正面玄関内部
オンラインならではの解説と鮮やかな画像でホワイトハウスを探訪
ワシントンD.C.の一等地であるペンシルヴェニア通り1600番池にそびえるホワイトハウスは、一般の観光客が中に入るには非常にハードルの高い手続きを踏む必要があります。
また、実際に見学する場合、非常に人気のあるツアーのため中は時間帯や場所によって非常に混雑してしまいます。
世界をリードする大統領の官邸を間近で体感できるメリットはありますが、細かい装飾や調度品などをじっくり眺めるには、やはりストリートビューには敵わないでしょう。
ホワイトハウスへの入館予定がある方はもちろん、ホワイトハウスに行ってみたい方は是非ストリートビューを活用してみてください。
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