ワシントンD.C.へのアクセス方法は羽田から直行便を利用する方法の他に合衆国やカナダ国内にある他の都市に一旦降りて乗り継ぎをする方法があります。
中でも中西部にあるシカゴやデトロイト、ミネアポリスは羽田とワシントンD.C.を結ぶ直線上に位置していることから、乗り継ぎ地として多くの方が利用する都市になっています。
今回はヒューロン湖沿岸に位置するデトロイトを経由してワシントンD.C.への路線を就航しているデルタ航空について紹介します。
なお、デルタ航空は2019年11月より国際線メインキャビンのサービスを一新し、ウェルカムカクテルや、ビストロスタイルの機内食などを導入しています。
デルタ航空とは
アメリカの3大航空会社の一つであるデルタ航空は航空連合スカイチームに所属しています。本社をアトランタに置き、拠点であるハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港からは世界5大陸に直行便を就航しています。5大陸に直行便を就航しているのはアメリカの航空会社ではデルタ航空のみです。
日本へはアトランタ、デトロイト、ポートランド、シアトル、ロサンゼルス、ミネアポリス、そしてホノルルから羽田へ就航しています。また、デトロイトからは名古屋、シアトルからは関空にも就航していますので、日本からそれぞれの就航都市を経由してワシントンD.C.にアクセスすることができます。
ノースウエスト航空時代から続く日本路線

日本に就航するデルタ航空の前身はノースウエスト航空で、今回紹介する羽田デトロイト路線はデルタ航空としてではなく、ノースウエスト航空として運行されていました。
ノースウエスト航空は日本航空が本格的に国際線に参入する前から成田に乗り入れていて、成田を拠点にアメリカとアジアの主要都市を自社便で運行していました。

2008年にデルタ航空との合併が決まり、翌年からコードシェア便を展開、2010年1月30日のNW2470便ロサンゼルス発ラスベガス行きを最後にノースウエスト航空は消滅し、完全にデルタ航空となりました。
成田、デトロイト間はジャンボジェットの愛称で知られるボーイング747-400が使用され、日米間を多くの人を移動させてきました。デルタ航空になってからも内装をリニューアルしながら同じ機材が使われ、2017年10月30日の成田発デトロイト行きDL276便を最後に28年の歴史に幕を下ろしました。

2017年10月30日、デトロイト発成田行きのDL275便より代替機のエアバスA350-900が導入され、新たな歴史が刻まれました。
2020年3月29日より、デルタ航空は全路線を羽田に移管し、東京とアメリカの各都市を結んでいます。
エアバスA350で新しくなった設備とサービスを体感

デルタ航空は新しい機材を導入するにあたって本社があるアトランタからの路線ではなく、中西部のハブであるデトロイトから日本へ就航している路線に初投入しました。


エアバスA350の座席数は個室タイプのビジネスクラス「デルタ・ワン・スイート」が32席、プレミアムエコノミーとして位置づけられる「デルタ・プレミアムセレクト」が48席、エコノミークラスの「メインキャビン」が226席の計306席です。
LED照明で快適な機内空間を演出
天井には荷物収納棚が設置されていますが、エアバスA350のビジネスクラスの中央部にはそれがなく、すっきりとした天井になっていて広い空間を演出しています。

プレミアムセレクトとメインキャビンには他の機材と同じように収納棚が設置されていますが、他の機材とは異なり、収納棚と天井の間の全てにLEDライトが設置され、時間帯に合わせて様々な色で機内を照らします。
搭乗、降機時は窓側上部の照明が濃い青と薄い青のグラデーション、窓側の荷物収納棚と天井の間の照明が白、中央座席上の荷物収納棚と天井の間の照明が濃い青と薄い青のグラデーションで照らされ、グラデーションに照らされている部分は前から後ろに色の濃い部分と薄い部分が移動していく仕掛けになっています。

離着陸時は徐々に全ての照明が暗くなり、完全に消灯されます。これは緊急時に期待の外に避難する際に外の明るさや暗さに目を慣れさせるための措置です。そのため、窓側に座っている場合はシェードを全開にする必要がありますので、覚えておきましょう。

機内サービスが行われていないときは天井部の照明のみ、夜をイメージした濃い青で照らされ快適な空の旅を演出しています。
機内サービスが始まる時間帯になるとその状態から窓側の照明が徐々に青くなり、全ての照明が濃い青になった後、徐々に明るい紫、オレンジ色へと変化していき、サービス時には機内全体が黄色い照明で照らされます。


以前の747ではLEDではなく通常の照明が搭載されていたので、明るさや色の微調整ができなく、いきなり暗くなったり明るくなったりしていましたが、エアバスA350ではLEDのため、明るさや色の微調整ができるようになり、より快適な演出を体感できるだけでなく、時差ボケの軽減にもなっています。
キャビンだけじゃない、化粧室の照明も美しい

エアバスA350の化粧室はデルタ・ワン・スイートの前方に2カ所、デルタ・プレミアムセレクトの前方に2カ所、メインキャビンの中央部に4カ所の計8カ所あります。
もちろん全ての化粧室でLED照明が採用されていますが、メインキャビンの右側の窓際にある化粧室と左通路内側にある化粧室の照明は中に入りロックをかけると鏡の下にあるLED照明が濃い青から徐々に紫、オレンジ色へと変化し、最終的に黄色になります。他の化粧室はロックをかけても濃い青のままなので、色の変化は楽しめませんが、機内で寝ていた場合は変化しないほうが目に優しいので状況に応じて選ぶと良いでしょう。
ちなみに、色が変化する化粧室に入ると鏡の下に白い丸い模様が描かれているので目印になります。
キャビンの仕切りにも注目、デルタ航空ならではのデザイン


飛行機に搭乗したら自分の座席に向かいますが、その際前後の壁に注目してみてください。後方にはグレーの壁の中央にデルタ航空のロゴ、前方の壁はデルタ航空の三角形をイメージしたデザインが描かれています。
このうち、デルタ・プレミアムセレクトとメインキャビンの間の仕切りは曲線を取り入れたスタイリッシュなデザインで旅の高揚感を一層高めてくれます。
業界最大の個人用モニターで自分だけのフライトを

デルタ航空のエアバスA350のメインキャビンにはデルタ航空最大のパーソナルモニターが設置され、無料のコンテンツを愉しむことができます。中でも、「デルタスタジオ」と呼ばれるエンターテインメントは圧巻で、毎月映画や音楽コンテンツが更新されます。
エンターテインメントだけでなく、フライトトラッカーもかなり優れていて、位置情報から機体情報、保有機材など、様々な情報にアクセスできます。ただし、モニターに表示されているデトロイトの時間は夏時間ではないので、夏時間適用時に旅行する場合は注意してくださいね。
機内サービスの醍醐味、気になるデルタ航空の機内食
「アメリカ系航空会社の機内食はマズい」そう決めつけてはいませんか?
デルタ航空の日本発着路線に関してはそうではないと言った方が良いでしょう。特に成田デトロイト間に関しては、成田発、デトロイト発のそれぞれの便で現地の有名日本食レストランとコラボし、提供されています。


通常このような機内食はビジネスクラス以上の座席で提供されることが多いですが、デルタ航空では全てのキャビンで提供していますので、エコノミークラスでも他の航空会社とは一味違った機内食を堪能することができます。
なお、デルタ航空は2019年11月より国際線メインキャビンのサービスを一新しました。
羽田、デトロイト路線では2回機内食が配られますが、それだけではないのです。
中間には軽食とアイスクリームが配られ、日本発の便では日本が誇るアイスクルームブランド、ハーゲンダッツが全てのキャビンで配られ、デトロイト発の便ではベン&ジェリーズが配られます。


日本が誇る高級アイスクリームとアメリカを代表するアイスクリームが堪能できるなんて、甘い物好きにはたまらないですね。
日本人に配慮した機内で配られるアメニティ
日本発着のデルタ航空に搭乗したときに配られるアメニティには、通常のものに加えて日本人に配慮したアイテムが配られます。中でもスリッパは全てのキャビンで配られ、長時間靴を履かない日本人の習慣に配慮したサービスと言えるでしょう。
ちなみに、このサービスはデルタ航空を皮切りに同じスカイチームに加盟しているエールフランスでも提供されています。
窓際派必見、羽田、デトロイト路線での景色の愉しみ方
飛行機に乗るとき、窓際を好んで座る方も多いのではないでしょうか?
ここでは羽田、デトロイト路線で外の景色を愉しむ時に押さえておきたいポイントを紹介します。
夜間飛行を大いに愉しもう、羽田、デトロイト間の景色

羽田からデトロイトに向かうフライトは半分以上が夜間飛行なのでフライト中のほとんどは窓に設置されているシェードを開けて外の景色を愉しむことができます。また、飛行航路は大抵最短距離より南側を迂回して飛びます。
日が暮れる前に羽田を離陸しますので、太平洋上空に差し掛かった頃に夕日を眺めることができます。特に左側に座った場合は機内から日の入りを眺められますので、是非とも機内からの夕日を体感してみてください。
あたり一帯が暗くなると冬の時期には右側にオリオン座をはじめとする冬の星座をほぼ真横に観ることができ、冬の大三角形の下の部分にあるシリウスはなんと上から目線で観ることになります。

飛行機がバンクーバー上空に差し掛かる頃、東の空が次第に明るくなってきて機内から夜明けを観ることになります。この時、右側に座った場合は昼と夜の境目がくっきり見え、飛行機からではないと味わえない体験をすることができます。
あたり一帯が完全に明るくなったら一旦窓のシェードを閉めましょう。大陸に差し掛かり、これからじっくり景色を眺めたいところですが、機内は夜の設定になっているので、完全に暗い状態にしてゆっくり体を休めて現地での活動に備えた方が充実した旅を愉しめますので、デトロイト着陸時まで一旦景色を我慢しましょう。

また、エアバスA350の主翼は白で塗装されていて、翼の端にある曲線的で美しいウィングレットにはデルタ航空のロゴが描かれていて、景色とのコントラストが非常に映えます。
特に夏場のデトロイト上空には中西部独特の綿雲が至るところに点在していて、デトロイト離着陸時に主翼に雲が映る姿はなんとも言えない景色です。
「赤い尾翼を追え」ノースウエスト航空から引き継いだもの
地異西部のハブ空港となるデトロイトは、ミネアポリスとともにノースウエスト航空から引き継いだ路線となります。
この地域は夏場は中西部ならではの大平原を眺めながら離着陸を過ごせますが、冬になるとあたり一帯は雪で覆われ、景色が一変します。
周りに遮るものがないので、しばしば猛吹雪にみまわれるため、ノースウエスト航空は猛吹雪でも目立つ赤い垂直尾翼を採用したと言われています。
そのため、この地域を発着する航空会社はノースウエスト航空の赤い垂直尾翼を追えば安全に離発着できるということから、このような言葉が生まれました。
この言葉は現在でも活かされていて、デトロイトをはじめ中西部を発着する航空会社は、デルタ航空の垂直尾翼に描かれている赤いロゴを目印にして離着陸することがあります。
デトロイト出発時は最初の機内食が終わるまでと日本到着直前
羽田からデトロイトまではフライトのほとんどが夜間飛行なので夜間は窓のシェードを開けておいても特に問題はありませんが、デトロイトから羽田に向かうフライトでは外はずっと明るいのでフライトのほとんどで窓のシェードを開けることができません。

そこで景色を愉しみたい方は最初の機内食が終わるまでと最後の機内食が提供される時のみ、窓のシェードを開けておくことができます。それ以外に外を眺めたい場合は化粧室付近にある機体のドアから眺めることをオススメします。
また、日本上空に差し掛かり最後の機内食が提供される時にシェードを開ける際は一気に全部開けるのではなく、徐々に開けて外も光に目を慣らした方が良いでしょう。
ちなみに、デトロイトから羽田に向かって飛ぶ時は偏西風の影響を受けるのと、最短距離よりだいぶ北側に迂回して飛ぶことが多いので、フライト時間が1時間ほど長くなります。
日本在住者限定、デルタAMEXゴールドで快適な旅を
デルタ航空はアメリカンエキスプレスと提携し、クレジットカードを発行しています。中でも日本で発行されているデルタAMEXのゴールドカードは初年度は無条件でデルタ航空の上級会員資格、ゴールドメダリオンが付帯していて、優先チェックイン、デルタ航空のラウンジ、優先搭乗、優先荷物扱いなど、様々なVIP待遇を受けることができます。
2年目以降はクレジットカードの決済額が150万円以上でゴールドメダリオンを更新することができ、100万円以上の場合はシルバーメダリオン、100万円未満の場合はステータス無しになります。
羽田空港にはデルタ航空が乗り入れる第3ターミナルの4階にデルタ航空のラウンジ、スカイクラブがあります。

一方、デトロイト空港にはスカイクラブは全部で4カ所あり、トラム中央駅付近と南北それぞれの駅のホームに直結した場所と、光のトンネルを抜けてすぐのコンコースCにあります。
このうち、駅直結のスカイクラブは中央と比べると若干小さいものの、乗り継ぎゲートが駅に近い場合は便利ですので、ぜひ立ち寄ってみてください。
デルタ・スカイマイル・アメリカン・エキスプレス・カード

年会費 | 税込13’200円 家族カード1枚無料 |
スカイマイル | 100円で1マイル |
メダリオン会員プログラム | シルバーメダリオン 2年目以降は100万円以上のカード利用でシルバーメダリオン継続 |
空港ラウンジ | 国内空港28カ所、海外1カ所 |
海外旅行保険 | 利用付帯 |
デルタ・スカイマイル・アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード

年会費 | 税込28’600円 家族カード1枚無料 |
スカイマイル | 100円で1マイル |
メダリオン会員プログラム | ゴールドメダリオン 2年目以降は150万円以上のカード利用でゴールドメダリオン継続 100万円以上のカード利用でシルバーメダリオン |
空港ラウンジ | 国内空港28カ所、海外1カ所 |
海外旅行保険 | 利用付帯 |
快適なデルタ航空の機材でワシントンD.C.へ
747に代わって投入されたエアバスA350はデルタ航空が誇る次世代旅客機です。中でも羽田、デトロイト間はデルタ航空の主力路線で、日本からワシントンD.C.に行く際に是非とも利用したい路線です。
乗り継ぎ地のデトロイト空港も日本人に優しい造りになっていて、スムーズに乗り継ぎすることができます。
さらに、デルタ航空は日本人向けに提携のアメックス・ゴールド・カードを作るだけで1年間無条件で上級会員資格、ゴールドメダリオンを提供していますので、是非とも利用しておきたいですね。