合衆国の首都でありながら、街は緑に溢れ、公園都市という異名を持つワシントンD.C.。大統領をはじめ、多くの要人や著名人が集まるこの街は、一見すると安全な場所と思いがちだが、ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市と比べて、犯罪が多発する危険な一面もあるのが事実です。 そこで今回はワシントンD.C.に滞在する際、治安の悪い地域に立ち入らないための、賢いホテルの選び方について紹介します。
4つの地区から成る、コロンビア特別区
ワシントンD.C.はアメリカ合衆国東海岸のほぼ真ん中に位置し、メリーランド州とヴァージニア州の間を流れるポトマック川沿いにあります。
街が築かれた当時はポトマック川を中心にメリーランド州とヴァージニア州から土地を譲り受けて、ダイヤモンド型をしていましたが、南北戦争の際にポトマック川の南西部はヴァージニア州に返還されることになり、現在ワシントンD.C.はポトマック川の北東部の地域になっています。
ポトマック川の南西岸は現在、ヴァージニア州アーリントン郡の一部で、アーリントン国立墓地や、ペンタゴンで知られる国防省があるアーリントン市と建国当時の面影を残す町並みで有名なアレクサンドリア市になっています。
ポトマック川の北東岸に位置するワシントンD.C.は合衆国議会議事堂を中心に4つの地区に分かれています。ホワイトハウスやリンカーン記念堂などがある北西区、日本から贈られた桜並木で有名なタイダルベイスンやジェファーソン記念堂などがある南西区、ワシントン・ナショナルズの本拠地、ナショナルズ・パークを中心に再開発が進められている南東区、一般の住宅が立ち並ぶ北東区の4つの地域です。
観光地へのアクセスに便利、滞在先は西地区を選ぼう
ワシントンD.C.を形成している4つの地域で、観光客が訪れることが多いのは北西区と南西区の西側の地区で、比較的治安が良い地域です。反対に合衆国議会議事堂の東側を南北に走っている1番通りより東側の地区は、低所得者が多く居住するエリアで、治安が急激に悪い場所になっています。 特にナショナルズ・パークがある南東区、中でもアナコスティアと呼ばれる地区は、再開発が進められているものの、市内でも有数の犯罪多発地域なので、よほどのことがない限り近づかない方が良いでしょう。
中でもホテルの選択肢が多い北西区、ただし値段は市内でも高め
ワシントン市内でも比較的治安が良い西地区、その中でも観光地へのアクセスに便利な北西区は、日が沈んだ後でも多くの人が街を歩いていて安心して過ごせる場所ですが、その分、ホテルの値段が高く設定されています。
中でもホワイトハウスの周辺にはウィラード・ホテルやヘイ・アダムズなどの5つ星ホテルを中心に数多くの高級ホテルが立ち並んでいます。ホワイトハウスから少し北に行ったところにあるデュポン・サークル周辺や大使館が立ち並ぶ、エンバシー・ロウ周辺に行くと比較的安めのホテルを探すことができますが、アメリカの他の都市と比べて値段は高めです。
安いホテルに泊まりたい場合はヴァージニア州側で
ワシントンD.C.の北西区は観光地へのアクセスや治安も良く、夜でも安心して街を歩くことができますが、その分ホテルの値段は高めです。そこでホテル代を安くしたい人の選択肢として、ポトマック川を渡ったヴァージニア州側のホテルを選ぶ方法があります。
ヴァージニア州アーリントン郡はワシントンD.C.に勤めている人のベッドタウンの一部で、ワシントン市内へのアクセスに多少の時間はかかるものの、治安の面では比較的良い地域です。 特にアーリントン市の南側に位置しているアレクサンドリア市は、イギリス植民地時代の面影を残す魅力溢れる街並みで、歩いているだけでも楽しむことができますし、少し南に行くと、初代大統領ジョージ・ワシントンがこよなく愛したマウント・ヴァーノンがあり、ワシントンD.C.とはまた違った雰囲気を味わうことができます。
ヴァージニア側のホテルに滞在して、観光はワシントン市内へ、さらにマウント・ヴァーノンまで足を伸ばしてしまうのも賢い選択肢の一つです。
ワシントンD.C.のホテル選びは治安が良い北西区か、安さを重視するならヴァージニア州側を
合衆国の首都で一見すると安全だと思われがちだが、ホテルの場所選びを間違えてしまうと、旅の思い出が一気に台無しになってしまう可能性があるのがこの街の特徴でもあります。 ワシントンD.C.を旅行する際には治安が良い市内の北西区に滞在するか、安いホテルに泊まりたい場合は市内ではなく、ポトマック川を渡ったヴァージニア州側のホテルを選ぶことが、治安の悪い地域に立ち入らないための第一歩です。
楽しい思い出づくりのためにも、ホテルを選ぶ際には是非とも周辺の治安には気をつけましょう。
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