海外旅行をすると日本とは違った景色が見られたり、個性豊かなアトラクションを体験できたりと、日本ではなかなか味わうことのできない経験をすることができます。
しかし、海外旅行となると言葉や文化が違うだけでなく、日本の常識は一切通じません。それに加えて日本と比べて治安が桁違いに悪いというイメージからなかなか海外旅行をする一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか?
特にアメリカは銃社会で日本のメディアではアメリカの事件といえば銃関連の事件とばかりに報道しているので、アメリカ=銃社会というイメージが日本人の間に根付いてしまっていて、余計に不安になってしまう方が多いのが事実です。
また、ワシントンD.C.はアメリカの中でも特に治安が悪く、常に警察がパトロールしているというイメージも根付いてしまっています。
このようなイメージがありますが、実際のところワシントンD.C.の治安はどうなのか、旅行にあたって気をつけておきたいポイントなどを紹介していきます。
ワシントンD.C.の治安概要
1990年代ごろまで、ワシントンD.C.の治安は極めて悪く、「殺人首都」との汚名まで着せられていたほどでした。
しかし、このような汚名を着せられたことでワシントン市は治安の改善に取り組み、2000年代以降急速に改善の一途をたどっています。現在では観光客が訪れるようなところで殺人事件が起きることは稀で、一般の観光客が命の危険にさらされることはほぼないと言っていいでしょう。
ワシントンD.C.は一般的に安全な街ですが、どのような都市にも犯罪が存在しますので、一般的な安全対策を講じることが重要です。
- 街歩きをする時は、貴重品を隠し、警戒を強めるよう心がけましょう。
- 夜間は特に注意し、人が少ない場所は避けるようにしましょう。
- 常に周りを見て、危険な状況に気づいたら早めに逃げるようにしましょう。
- タクシーやUberなどの公共交通機関を利用することも安全対策の一つです。
ワシントンD.C.には、大使館や政府機関が多く存在するため、警戒レベルが高くなっていることもあります。特に、合衆国議会議事堂やホワイトハウス周辺は、警察による警備体制が厳しいため、比較的安心して観光を愉しめます。
ワシントンD.C.は観光スポットがたくさんあり、歴史的な場所や博物館、美術館などを愉しむことができます。楽しい旅の思い出を残すためにも、上記のような安全対策を講じることが重要です。
ワシントンD.C.の銃事情
次にワシントンD.C.の銃事情についてですが、ワシントンD.C.に限らずアメリカのほとんどの地域では銃に関する規制を設けていて、銃保有者のほとんどは護身用として自宅の決められた保管方法で保管されているため、一般市民が銃を常に持ち歩いていることはありません。
また、一度でも犯罪を犯すと銃の所持免許が剥奪されるため、銃を所持しているということは善良な市民であるともいえます。
それに加えてワシントンD.C.は首都ということもあり、政府施設や博物館などを見学する際には必ず金属探知機を潜るので、銃を持っていることはまずあり得ませんし、一歩中に入ってしまえばそれこそ安心して見学することができます。
- アメリカのほとんどの地域では銃の取り扱いに関して厳しい制限を設けている。
- 過去に一度でも犯罪を犯していると銃の所持免許が剥奪されるため、銃の所持者は善良な市民であると言える。
- ワシントンD.C.にある政府機関や博物館などには金属探知機が設置されているので、内部は極めて安全。
街中では常に首都警察が警備にあたっている
建物内のセキュリティはある意味空港と同じレベルのワシントンD.C.ですが、街中では一体どうなのでしょうか?
ワシントンD.C.に限ったことではありませんが、アメリカのほとんどの街では常に警察車両がサイレンを鳴らして警戒にあたっています。合衆国の首都であるワシントンD.C.ではその頻度は高く、1日中街を歩いていれば2、3回はパトカーのサイレンを聞くことになるでしょう。
日本でサイレンを鳴らしたパトカーを見かけるとなんとなく不安になってしまう方も多いと思いますが、アメリカでは治安がいいところほどパトカーが走っていることが多いので、パトカーのサイレンを聞くことで常に警官に守られているというと言っても過言ではありません。
ワシントンD.C.の街中は常に人で溢れている
アメリカといえば車社会で、ほとんどの人が車で移動するので、街中を歩いている人がほとんどいないイメージを思い浮かべるのではないでしょうか?
確かにハイウェイが発達した都市や郊外の住宅地では道を歩いている人は極めて少なく、なんとなく不安になってしまいますが、ワシントンD.C.ではそのようなことはありません。
特に観光客が多い北西区では朝方から夜10時すぎくらいまで、多くの人が街中を行き交っています。人が歩いていると言っても日本の東京や地方の大都市と比べて数が少ないですが、その分人と人の距離を適度に保てるので、比較的安心して街歩きを愉しむことができます。
地下鉄も安心して乗ることができる
ワシントンD.C.の地下鉄は東京ほど路線が発達していませんが、もともと核シェルターの役割も兼ねて造られたので地上からかなり深いところにあり、一歩改札を入ってしまえば非常に快適な空間です。
車両も落書き一つなく清潔でラッシュ時でも日本ほど混まないのでかなりの確率で座れますし、日本の地下鉄と比べてもレールの幅が広いので揺れも少ないです。
また、最新の車両は日本の日立が製造しており、照明も日本仕様で蛍光色になっています。これは好みが分かれるところですが、多くの日本人にとって、真っ白に照らす照明は馴染み深いので、ますます安心して利用できるでしょう。
ワシントンD.C.の治安が良い地区と悪い地区
ここまでワシントンD.C.の治安事情について大まかに説明してきましたが、ここでは治安が良い地区と悪い地区について紹介します。
まず、どこにでも言えることですが、観光客が多い地域は比較的治安が良いといえます。ワシントンD.C.で観光客が多いのはナショナルモール周辺と高級住宅が多くある北西区です。
これらの地域は治安は極めてよく、深夜でもない限り普通に街を歩いていて危険な目に遭うことはほぼありません。
一方で合衆国議会議事堂の東にある1番通りよりも東側の地域は低所得者が多く住んでいる地域で観光スポットもほぼないので、治安は一気に悪くなります。
また、ユニオン駅周辺も夕方になると物乞いが多くなり、金品を迫られたりするので極力近づかない方が良いでしょう。
また、ワシントンD.C.の東地区でも特にアナコスティア地区は極めて治安が悪く、市内の殺人事件のほとんどはこの地域で起きています。近くにはワシントン・ナショナルズの本拠地であるナショナルズ・パークがありますが、車で移動するなどの最善策をとりましょう。
再開発が進んでいるとはいえ、この地域には行かないことが何よりです。
街歩きで気をつけたいポイント
ワシントンD.C.では観光客が多い北西区やナショナルモール周辺は治安が良いですが、良いと言ってもそこは海外、日本の常識は通じません。
日本では落し物はかなりの確率で戻ってきますが、海外では落し物が戻ってくることはほぼありません。また、スリや置き引きなど、軽犯罪といわれるものも日本とは比較にならないほど多いです。
そこで気をつけたいのが、貴重品は常に身につけたり、ファスナーのついた小さいバッグに入れて持ち歩くなど、目を離さないことや、万が一に備えて数カ所に分けておくこと。ポケットに財布などを直接入れるのはもってのほかです。
また、道を尋ねるときは街中を歩いている人ではなく、必ずお店やホテルのスタッフや建物の入り口に立っている警備の人に聞くなど、確実な方法をとることです。
街中で金品を要求されたら
観光客が多く集まる北西区ではほとんどありませんが、ユニオン駅周辺では物乞いに遭遇することもあるでしょう。
その際、金品を要求されたら基本無視するのが良いです。ただし、体が触れる距離にいた場合ははっきり「ノー」と言って立ち去るか、しつこい場合は1ドル程度差し出すのも一つの手段です。ただし、札束を見せると全部奪われる可能性があるので、別の場所に入れておきましょう。特に、ポケットから出す場合はそのことを一言伝えてから出しましょう。下手にポケットに手を入れると武器を持ってると勘違いされてしまう可能性がありますので、それだけは避けましょう。
それから、地下鉄の改札付近ではさっさと改札を通って中に入ってしまうのも一つ手段です。物乞いをする人はお金を持っていなくて、地下鉄の構内に入ることができないので、そういう意味でも地下鉄は安全な乗り物と言えます。
写真撮影は必ず相手に頼まれてから
旅行といえば写真撮影は欠かせませんよね。
行きたかった場所で風景を撮るのもいいですが、やはり行ったからには自分自身も写真に収めたいというのは当然のことですよね。
複数で旅行していれば一緒に行く人にとってもらうことができますが、ひとり旅の場合や旅行している人全員で写りたい場合はどうしても他の人にとってもらうことになります。
しかしそこは海外、見ず知らずの人に自分のカメラを渡すのはかなりのリスクです。
そこで安心して写真に写る方法として、自分から頼むのではなく、写真撮影を頼んできた人に自分たちの写真を撮ってもらうのがオススメです。この場合、相手も写真を撮って欲しくて頼んできたので、カメラを持っていかれる可能性はかなり低く、お互いにメリットとなります。
観光地で被写体をある程度撮影していれば自然と頼まれますが、より確実に頼まれるコツとしては、自分たちの身なりが清潔であるのはもちろん、写真を漠然と撮影するのではなく、構図を考えてシャッターを切ることで相手から「この人だったら安心して頼める。」と思われるような雰囲気を醸し出すことです。
「写真撮ってもらえませんか?」と頼まれたら快く引き受けましょう。撮影が終わったらすぐにカメラを返して「今度は自分も撮ってもらえませんか?」と頼み、自分自身も撮ってもらって楽しい思い出を作りましょう。
暗くなってからの外出は十分注意する
当然のことですが、暗くなってからの外出は十分注意しましょう。
北西区のダウンタウンや、デュポンサークル、ジョージタウン周辺は夜でも人で賑わっており、魅力的な店もたくさんあるので、昼間では味わえないナイトスポットとして愉しめますし、ライトアップされた記念碑も昼間とはまた違った趣があり、それらを巡るのも楽しみの一つです。
しかしそこは海外、日本の感覚で街歩きをするのは危険極まりありません。昼間以上に十分警戒心を持ってナイトライフを愉しみましょう。
夜の移動のコツとしては人が多い地下鉄で目的の場所まで移動し、帰りはタクシーを利用するのが賢明です。また、ナショナルモールを観光する場合はナイトツアーを利用するのが良いでしょう。
昼間は乗り降り自由の観光バスとして運行しているバス会社ですが、夜はガイド付きの観光バスに早変わり、ガイドが夜のワシントンD.C.を案内してくれます。
また、リンカーン記念堂では下車観光、外観のみですが、ライトアップされたリンカーン記念堂と東側にはリフレクティングプールに映し出されたワシントン記念塔を眺めることができます。
ナイトツアーは単体では有料ですが、2日間乗り放題のチケットを購入すると無料になります。
ワシントンD.C.の治安についてのまとめ
ワシントンD.C.を旅行するにあたって次のことに気をつければ快適に旅を愉しむことができるでしょう。
- ワシントンD.C.の治安は格段と良くなっている。
- アメリカで銃に対して極端に怖がる必要はない。
- 観光施設のセキュリティは空港レベル
- 街中は常に警官に守られている。
- アメリカの他の都市と比べて街を歩いている人が多い
- 東地区、合衆国議会議事堂の東側の1番通りより東側には行かない。ただし、議会図書館と最高裁判所を除く。
- 自分の持ち物は常に身につけておく。
- 物乞いには近づかない。
- 金品を要求されたら安全な場所に逃げる。
- 写真撮影は相手に頼まれてから。
- 夜間の外出は十分気をつける。
これらのことに気をつければ、怖い思いをすることはほぼありません。楽しい思い出作りのためにも、治安情報には十分気をつけて出かけましょう。
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