ワシントンD.C.観光で必ず行っておきたい場所はホワイトハウスです。
広大な芝生の中に佇む白亜の建物はテレビなどですっかりお馴染みになり、世界中からたくさんの観光客がこの建物を一目見ようと集まります。
ホワイトハウスといえばほとんどの方が半円形のバルコニーを思い浮かべるのではないでしょうか?
そして、その中央にある玄関こそがホワイトハウスの正面玄関であると言われていますが、実はホワイトハウスには正面玄関と言われている場所がいくつかあります。
ホワイトハウスにある正面玄関の数々
ホワイトハウスは大統領が居住し、国家行事が執り行われるエグゼクティヴ・レジデンス、大統領執務室と閣僚の会議室などがあるウエストウィング、ファーストレディのオフィスやシアターなどがあるイーストウィングから成り、それぞれの建物に正面玄関があります。
中でもレジデンスには南北1カ所ずつに正面玄関があり、しばしば「どっちが正面?」と言われます。
そこで今回はホワイトハウスのレジデンスにある玄関について紹介します。
ちなみにウエストウィングの正面玄関は北側にある車寄せを備えた玄関が正面で、イーストウィングは建物東側にあるイースト・エグゼクティブ通りに面した玄関が正面です。
公式上、ホワイトハウスの正面玄関はない
いきなりですが、ホワイトハウス公式の見解によると、正面玄関はないとされています。
そのため、「どっちが正面か?」という質問に対する正式な答えは「正面はない」というのが正解ですが、ほとんどの方はこれではしっくりこないと思いますので、あえていうならば、「南側のバルコニーがある玄関も北側にある玄関も正面、ただし北側の玄関の方が格式が高い。」というのが妥当と言えます。
南側の玄関はテレビなどでもよく映され、外国の首脳や要人が初めてホワイトハウスに通されるのが南側で、そこで歓迎式典などが行われるので、尚更南側が正面で北側の玄関は裏と思ってしまいがちですが、実際は正式な正面玄関はありません。
その代わり、ホワイトハウスでは南側の玄関を「サウス・ポルティコ」、北側の玄関を「ノース・ポルティコ」と呼び、前に広がる庭をそれぞれ「サウス・ローン」、「ノース・ローン」と呼んでいます。
それでも白黒はっきりさせたい方向けに
ホワイトハウスの公式見解は解ったけど、どうしても正面をはっきりさせないと気が済まない、という方向けに当サイトでは「北側が正面で、南側のバルコニーがある方は裏」とさせていただきます。
この見解は北ポルティコは様々な重要な国家行事が行われるステート・フロア(1階)に面していること、ステート・フロアは地面に面したフロア(地階)の上にあり、他のフロアとは別格扱いされていること、そして北側の玄関の屋根には古代ギリシア時代からの伝統である三角形のファサードがあることから、北側の玄関を正面とさせていただきます。
ホワイトハウスの階数について、数え方と正面玄関の関係
建物の階数は一般的に地面に面したフロアを1階とし、そこを基準に上に行くに従って数が増え、逆に地面のすぐ下にあるフロアが地下1階でそこから下に向かって階数が増えます。
この数え方はアメリカ式と言われ、日本人にとって当たり前と言って良いですが、ヨーロッパ、特にイギリスでは階数の数え方が少し違うのです。
イギリス式の数え方では地下はアメリカ式と同じですが、地上では地面に面したフロアは地階(グラウンドフロア)と呼ばれ、1階はその上のフロアを指します。
そのため、イギリスでは1階のところがアメリカでは一般的に2階になります。
ホワイトハウスは一般的に地上4階、地下2階建ての建物と言われますが、実はとても複雑な構造をしているのです。
ここで改めてホワイトハウスをじっくり見ていただきたいのですが、南側から見た時と北側から見た時、何かお気づきになりませんか?
南側から見た時の方が北側から見た時よりも階数が多いのです。
これはノース・ローンが建物に向かうにつれ丘のように盛り上がっていて北ポルティコは南側から見た時の2階に見えるフロアに直結しているので、北側からは南側からは見えるはずのフロアが地面に隠れているためです。
ここで注目したいのが南側から2階に見えるフロアはホワイトハウスの公式上1階であるということです。このフロアは様々な国家行事が行われるため、ステート・フロアと呼ばれています。
そのため、ホワイトハウスの階数の数え方はレジデンス部分と東西のウィング部分で異なり、レジデンス部分ではイギリス式、ウィング部分ではアメリカ式が採用されていることになります。
ホワイトハウスの内部見学は現在合衆国議会議員の紹介がないとできませんが、見学者はイーストウィングの正面から建物に入ってレジデンスの北ポルティコから外に出るので、1階から入って1フロア登った先の1階から外に出るという不思議な体験をすることになります。
これらのことから、ホワイトハウスの公式見解上正面玄関はありませんが、ステート・フロアに面した北ポルティコを正面と呼ぶにふさわしいと言えるでしょう。
格式が高い北ポルティコ
ホワイトハウスの北ポルティコはワシントンD.C.の目抜き通りであるペンシルヴェニア通りに面していて、一般の観光客でも南側のバルコニーよりも近くに観ることができます。
玄関には繊細な彫刻が施されていて見応え抜群ですが、一般の観光客は間近で観ることができませんので、望遠レンズが搭載されたカメラを持っていくと良いでしょう。
また、ホワイトハウスの近くにあるビジターセンターにはホワイトハウスの模型が展示されていますので、建物の構造を間近で観ることができます。
ガーデンツアーに参加して南ポルティコを間近で眺める
ホワイトハウスでは春と秋の年2回、サウスローンを一般公開しています。
このガーデンツアーは事前の予約なしで誰でも入ることができますが、人数限定のツアーで当日に配られる整理券がないと中に入れません。
ツアーの整理券は通常ホワイトハウスの南側に広がるエリプスにあるエリプス・パビリオンで配られますが、状況によって変わることがありますので事前に公式サイトをチェックしておきましょう。
ガーデンツアーではホワイトハウスの南東にある門から入館し、車道に沿ってサウスローンを1周します。その時にホワイトハウスの南側だけでなく、ジャクリーン・ケネディ・ガーデンやウエストウィングに面するローズ・ガーデン、さらに遠目に大統領執務室がある半円形の建物も観ることができます。
用途に応じてどこも正面玄関になる
ホワイトハウスには公式上正面玄関はありませんが、用途に応じてどこでも正面玄関として訪問者を迎え入れることを示しています。
どこの玄関から出入りしても、ホワイトハウスに入った人は大統領と同じ目線で中を歩くことで、この建物とアメリカが歩んできた歴史を直近で垣間見ることになります。
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