ワシントンD.C.の玄関口、ユニオン駅のメインホールから出るとまっすぐ伸びた大通りの向こう側に壮麗な円形ドームが見えてきます。
そこはアメリカ合衆国の政治の中心、合衆国議会議事堂です。キャピトル・グラウンドと呼ばれている約1平方キロメートルの広大な敷地に建つ議事堂は巨大なドームを中心に北側に上院、南側に下院を配しています。
今回はワシントンD.C.の中心に建つ合衆国議会議事堂の外観について紹介します。
なお、議事堂のことを連邦議会議事堂と呼ぶこともありますが、ここでは合衆国議会議事堂と表記します。
壮麗な新古典主義の議事堂
大理石でできた議事堂の建物は新古典主義と呼ばれる建築様式で、建物中央に強大な鋳鉄製の円形ドームを配し、南北には上下両院の議場がある場所になっています。
円形ドームの頂点には「自由の女神」と呼ばれる19フィート6インチ(約6メートル)のブロンズ像が東向きに立っています。自由の女神というとニューヨークにある像を思い浮かべますが、ニューヨークにあるのが「Statue of Liberty」と呼ばれるのに対し、議事堂にある自由の女神は「Statue of Freedom」と区別されています。
建物の東西にそれぞれ出入口が設けられ、それぞれイーストフロント、ウエストフロントと呼ばれています。中でもイーストフロントの3つのファサードに施された装飾は見事なまでに繊細で、長時間観ていても飽きることはありません。
建物を支える列柱はコリント式と呼ばれるもので、柱と天井の間にはアカンサスの葉を象った装飾が施されています。
リンカーン記念堂ではドーリア式、ホワイトハウスとジェファーソン記念堂ではイオニア式、そして合衆国議会議事堂ではコリント式の列柱を観ることができ、ワシントンD.C.で古代ギリシア時代に確立した建築様式を体感できてしまうなんて、得した気分になりますね。
大理石むき出しの議事堂はホワイトハウスの白とはまた違った魅力がある
ワシントンD.C.には大理石で造られた建物が至るところにあります。中でも合衆国議会議事堂とホワイトハウスはワシントンD.C.を訪れたら必ず立ち寄っておきたい場所ですね。
合衆国議会議事堂とホワイトハウスは両方とも大理石で造られていますが、決定的な違いがあります。
ホワイトハウスは外側の壁が白く塗られているのに対して、合衆国議会議事堂は天然の大理石がむき出しになっていて、限りなく白に近いピンク色の大理石が使われています。
そのため、建物の壁は一色ではなく、つなぎ目を境に色と模様が微妙に変化しています。ホワイトハウスは白を愉しむ場所で、合衆国議会議事堂は色の変化を愉しむ場所といっても良いでしょう。
1日で様々な変化を愉しめる、議事堂の外観
合衆国議会議事堂は白亜の大理石むき出しの外観のため、1日で様々な色の変化を愉しむことができます。
議事堂を外から眺めるには、まず初めに早朝、イーストフロントに行くことをオススメします。そこから眺める議事堂は朝日に照らされて美しいピンク色に染まります。
イーストフロントにはピンク色の広大な石畳広場があり、広場のピンクと朝日に照らされた議事堂のピンクが見事なまでの共演を愉しめます。
日が昇ると議事堂は白く輝き、荘厳なオーラを放った雄大な景色へと変化します。
夕方になったら、広大な芝生が広がるウエストフロントに足を運んでみてください。そこからは夕日に照らされ、眩いばかりの黄金色に輝く議事堂の雄姿を堪能できます。
夜には議事堂がライトアップされ、昼間とはまた違った雰囲気を味わうことができます。
議事堂に掲げられている星条旗は議会が行われている証し
合衆国議会議事堂のイーストフロント側中央とウエストフロント側の上下両院議場の屋根には星条旗が掲げられています。
このうち、ウエストフロント側に掲げられている上下両院それぞれの星条旗は議会がまさに行われていることを示しています。
通常国旗を掲げるのは日の出から日没までとされていますが、合衆国議会議事堂では議会が行われているときは時間帯に関係なく星条旗が掲げられます。
ちなみに、これらの星条旗は議員を通して買うこともできます。サイズは一般的な3フィート×5フィート、国際規格の4フィート×6フィート、大きめのサイズの5フィート×8フィートがあり、素材も屋内外で幅広く使えるナイロンと伝統的な製法で作られたコットンから選べます。
政府機関で掲げられている星条旗なのに、公式サイズの10:19でないのは気になるところですが、政府機関で掲げられた国旗を買うことができるなんて、アメリカならではですね。
なお、合衆国議会議事堂では公式サイズの星条旗が掲げられていませんが、ホワイトハウスでは公式サイズである5フィート×9フィート6インチのナイロン製のものが掲げられています。
ワシントンD.C.の中心に建つ壮麗な議事堂を堪能する
合衆国議会議事堂はワシントンD.C.の若干東よりに位置していますが、区画上ではワシントンD.C.の中心で、中央のドームを起点に4つの区域に分かれています。
ワシントンD.C.の中心にそびえ建つ議事堂は1日を通して堪能できる観光スポットです。
朝ちょっとだけ早く起きて、議事堂の東側からゆっくり散歩しながら1日を愉しむのも、また違ったDCの一面が見えてきますね。