合衆国政府の立法機関である合衆国議会議事堂は上院と下院の二院制で構成されています。そのうちの上院は各州から2名ずつ選ばれ、州の代表者として議会に立っています。
上院議会が開かれる本会議場は古代ギリシャの伝統を受け継ぎながらも、煌びやかな内装で彩られていて、見る者を圧倒します。
今回は合衆国議会議事堂の北翼にある上院の本会議場の内部に迫っていきます。
なお、合衆国議会上院の正式名称は「United States Senate」のため、日本語では合衆国元老院と呼ぶのが相応しいですが、一般的に上院と呼ばれているのでここでは「上院」と表記します。
古代ギリシャの思想を受け継いだ、青と金色に輝く本会議場
合衆国議会上院の本会議場は2階部分まで吹き抜けになった巨大なホールで1階部分は全て青い絨毯が敷き詰められています。
議長席と書記席はホールの北側の壁際に配置され、そこだけ2段高くなっています。議長席の後ろには青をベースとしたサテンカーテンがかけられ、その手前には向かって左側に星条旗と右側に上院の旗が掲げられています。
カーテンの上部には合衆国が掲げる標語「E Pluribus Unum – 多様性から一つへ」が刻まれています。
また、1階部分の壁には淡いクリーム色の壁に黒い大理石でできた柱が埋め込まれていて、その間には木製の扉が配置されています。扉がない部分は青いサテンクロスが貼られ、その周りには古代ギリシャに端を発したメアンドロス模様が施されています。
このメアンドロス模様は日本では「グレカパターン」と呼ばれていますが、これは模様が途絶えることなく永遠に繰り返されることから、民主主義が永遠に続くことを象徴的に表しています。
議員席は議長席から放射状に配置され、議長席から離れるにつれ階段状に高くなっています。
一方、2階の傍聴席は階段状に5列で構成されています。壁は鮮やかな金色でアカンサスの葉をあしらった美しい模様が施されています。
上院と呼ばれるようになったのは下院の上の階にあったから
上院、下院の由来はフィラデルフィアに議会があった頃、議場として使用していた場所が2階建でそのうちの2階部分に上院、1階に下院の議場があったことに由来しています。
上院、下院の由来は視覚的に非常にわかりやすかったので、今日でも使われているのでしょうね。
この建物は現在も独立記念館の隣にあり、誰でも見学することができます。ワシントンD.C.からフィラデルフィアまでは電車で2時間くらいなので機会があったらぜひ行ってみてください。
100名からなる上院は州の平等を維持する
合衆国上院は州の大小関わらず、各州から2名ずつ選出され、現在は100名で構成されています。任期は6年で2年ごとに3分の1ずつ改選されますが、下院が州の人口で人数が決まるのに対し、上院は州の大小関わらず2名ずつ選出されるので、各州の平等性が保たれます。
また、上院の議長は副大統領が兼任しますが、事実上の議長は上院仮議長、実際に議長を務めるのは上院仮議長代行という、3人もの議長が在籍していることになります。
また、上院は立法権の他に大統領への助言と同意を与える権限、弾劾、副大統領を選出する権限を有するなど、下院と比べてかなりの優位性があります。
日本では下院にあたる衆議院に優位性がありますが、アメリカでは政治のプロという特色が強い上院に優位性があるのはなかなか興味深いですね。
各州の代表が集う政治の殿堂
合衆国議会上院は各州の平等を保つために設置された政治の殿堂と言えるでしょう。
青と金で彩られた本会議場には古代ギリシャ時代から受け継いだ模様が描かれ、壮麗でありながら厳かな雰囲気を放っています。
上院本会議場は議会が開かれていない日に一般開放されていますので、ワシントンD.C.に行ったらぜひ入ってみたい場所の一つです。
ただし、本会議場は写真撮影が禁止されてますので、カメラやスマートフォンなどはカバンにしまっておくか、指定の場所に預けておきましょう。