アメリカの国会に当たる合衆国議会は上院と下院から成る二院制を採用しています。
上院が州の代表が集う議会なのに対し、下院は州に居住する人口比によって選出人数が決められるため、市民の代表が集う議会として機能しています。
そんな下院議会が開かれる本会議場は合衆国議会議事堂の南翼にあり、議会が開かれていない時は一般に開放されています。
なお、下院の正式名称は「House of Representatives」と呼ばれ、合衆国代議員と表記するのが適切ですが、ここでは一般的に用いられている「下院」と表記します。
深みのある茶色と淡いクリーム色の大理石が映える下院本会議場
下院本会議場は深みのある茶色い壁に淡いクリーム色の大理石でできた柱が埋め込まれた落ち着いた空間になっています。
議長席の背後には巨大なナイロン製の星条旗が縦に掲揚され、その上部には合衆国のもう一つの標語である「In God We Trust – 我々は神を信ずる」が刻まれています。
議長席からは放射状に議席が置かれていますが、上院の議席とは異なり各議席にはテーブルが設置されてません。
床は上院よりもやや薄い青の絨毯が敷き詰められていますが、上院とは違った落ち着いた雰囲気を放っています。
下院と呼ばれるようになったのは上院の下の階にあったから
上院、下院の由来はフィラデルフィアに議会があった頃、議場として使用していた場所が2階建でそのうちの2階部分に上院、1階に下院の議場があったことに由来しています。
上院、下院の由来は視覚的に非常にわかりやすかったので、今日でも使われているのでしょうね。
この建物は現在も独立記念館の隣にあり、誰でも見学することができます。ワシントンD.C.からフィラデルフィアまでは電車で2時間くらいなので機会があったらぜひ行ってみてください。
上院議員も下院本会議場へ、大統領による一般教書演説
毎年1月の最終火曜日には大統領による一般教書演説が行われます。この日は大統領をはじめ、副大統領、上下両議員、最高裁判所判事などが一堂に下院本会議場に集まり、多くの人で埋め尽くされます。
このため、万が一の事態に備えて第3位大統領継承権を持っている上院仮議長と大統領継承権があるもう一人の行政長官、上下両院から各一人ずつ議員が指定生存者として欠席することになっています。
市民の代表が集う下院
上院が各州から2名ずつ選出されるのに対し、下院は10年ごとに行われる構成調査をもとに人口比が割り出され、それによって選出人数が決まります。
また、2年ごとに全議員が改選され、人の入れ替えを頻繁に行うことで政治の腐敗化を防ぐ機能を持っています。
日本の衆議院は内閣総理大臣によって頻繁に議会が解散され、人の入れ替えの一端を担っていますが、アメリカには議会の解散がありませんので、このシステムは大統領制ならではと言えるでしょう。
見学時は荷物の携帯不可
市民の代表が集う下院本会議場は議会が開かれていない時に誰でも入ることがでいますが、入場の際荷物はビジターセンターにある指定の場所に預けなければなりません。
指定の場所に預けた後、エレベーターで議事堂の2階まで上がって、下院本会議場がある南翼に向かいます。
ワシントンD.C.に行ったらまず議事堂の星条旗に注目して、掲げられていなかったら中に入ってみてはいかがでしょうか?