“O say can you see by the dawn’s early light”でお馴染みの国歌は1814年、弁護士であったフランシス・スコット・キーによって描かれました。
米英戦争が激化する中、ワシントンD.C.郊外のボルティモアにあるマクヘンリー要塞に掲げられていた星条旗が夜通しの砲撃にもかかわらず、奇跡的に耐え抜き朝日を浴びて神々しくはためいていたことに感動し、即興で描きあげたのがこの詩です。
キーによって描き上げられたこの詩は新聞に掲載され、瞬く間に全米に広まり、当時酒場で流行していた『アナクレオンの歌』のメロディーに合わせて歌われるようになりました。
当時、アメリカでは正式に国家を採用しておらず、イギリス国歌のメロディーに合わせて歌われていた”Let Freedom Ring”や、”Hail Columbia”などが国歌として歌われていましたが、1931年3月3日、キー作詞の『星条旗 Star Spangled Banner』が正式に国歌に採用されました。
今回は国歌の生みの親であるフランシス・スコット・キーの住まいがあった記念公園を紹介します。
ジョージタウンのポトマック川沿いに佇むこじんまりとした公園
記念公園がある場所はワシントンD.C.の西、ジョージタウンの一画にあります。
ジョージタウンのメインストリートであるM通りを西に進みウィスコンシン通りから4ブロック先の丁字路の手前、左側にこじんまりとした公園がありますが、そこがかつてフランシス・スコット・キーの住まいがあった記念公園になっています。
公園の入り口には”Francis Scott Key Park Star Spangled Banner Monument”とあるのですぐに分かるでしょう。
園内には国歌が誕生した経緯や、キーの生涯などを紹介したパビリオンが並んでいて、中央にはキーの胸像と1814年当時のデザインである15の星とストライプが描かれたナイロン製の星条旗が掲げられています。
記念公園はガイドブックには載っていない
ワシントンD.C.を紹介した日本人向けのガイドブックにはジョージタウンが紹介されてはいるものの、キーの記念公園は紹介されていません。地図には掲載されていることもありますが、ジョージタウンのおしゃれなお店などにページが割かれてしまっているのでほとんどの観光客はどうしてもそっちに足を運んでしまいます。
そのため、キー記念公園は広大なナショナルモールと違ってほとんど観光客が訪れないので、ある意味ワシントンD.C.の穴場スポットとなっています。
キーブリッジも見逃せない、アーリントンからの眺めを堪能
記念公園を訪れた後は隣接する橋を渡ってヴァージニア州川に渡って見ることをお勧めします。橋を渡った先のヴァージニア州側からはキーブリッジとジョージタウンの街並みを一望できるスポットがあり、新たな写真スポットとして人気があります。
また、アーリントンは行政区が変わりますので、ワシントンD.C.にはない近代的な高層ビル群があり、市内とはまた違った雰囲気を愉しむことができます。
国歌の歴史と近代的な街並みが交差する二つの街
ワシントンD.C.の西、ジョージタウンはおしゃれなお店と国歌を生んだキーの記念公園があるヒストリカルタウン、一方橋を渡ると近代的なビルが建ち並ぶ洗練されたエリアとなっていて、全く違った趣のある街並みが川を挟んで隣り合っています。
観光地としてはあまり人気がありませんが、人々の喧騒から離れてたまにはゆっくり過ごしてみるのも旅の醍醐味と言って良いのではないでしょうか。
国歌『星条旗』
O say can you see, by the dawn’s early light,
What so proudly we hailed at the twilight’s last gleaming,
Whose broad stripes and bright stars through the perilous fight,
O’er the ramparts we watched, were so gallantly streaming?
And the rockets’ red glare, the bombs bursting in air,
Gave proof through the night that our flag was still there;
O say does that star-spangled banner yet wave
O’er the land of the free and the home of the brave?
おお、見ゆるや 夜明けの淡き光を受け
先の夕暮れ 陽が落ちる時 我等が歓呼したもの
其は太き縞と輝く星条旗を我々は目にした 危き戦の間
城壁の上に見た 勇壮に翻りし 彼の旗
狼煙の赤き炎立ち 砲音宙に轟く中
耐え抜き 旗は尚其処にあり
おお、星散りばめたる旗は 今猶棚引くか
自由なる大地 勇者の故郷に