ワシントンD.C.北西区にあるワシントン大聖堂は、1990年に完成したネオゴシックの壮麗な外観にして、その内部に至るまで堂々たる佇まいの、まさにアメリカを代表する大聖堂です。
大聖堂にある大小様々な礼拝堂では、毎日どこかしらで礼拝が行われており、誰でも気軽に参加することができます。
また、礼拝が行われていない時間帯には大聖堂のツアーが催されていますが、中でも人気のツアーが大聖堂の立ち入り禁止エリアを見学するツアーで、普段はなかなか見ることのできない大聖堂の裏側を間近で見ることができます。
ガイドが次々と鍵を開けながら案内するツアーは非日常世界への入り口
大聖堂の立ち入り禁止エリアは、普段鍵がかかっていて中に入ることができません。しかし、このツアーに参加すればガイドの案内のもと、立ち入り禁止エリアに入ってまた違った大聖堂を眺めることができます。
ツアーでは立ち入り禁止の看板を横目に、鍵のかかった扉を通りますが、その度に特別な世界へと誘われる感覚になって、扉の向こうへの好奇心を掻き立ててくれます。
大聖堂の顔とも言えるバラ窓を間近で見学
大聖堂で一番目を引くものといえば、建物の正面にある大きな丸い形をした窓を思い浮かべるのではないでしょうか?
この窓にはしばしばステンドグラスが埋め込まれていて、それを支えるフレームの形が放射状になっていてバラの様な形をしていることから、バラ窓と呼ばれています。
ワシントン大聖堂にはこのバラ窓が西側の正面口と南側、そして北側の3か所あり、このツアーでは西側にあるバラ窓の真下まで行くことができます。西側にあるバラ窓は「天地創造」を意味し、ステンドグラスから差し込む光は観るものを圧倒します。
また、後ろを振り返ると大聖堂の身廊と主聖壇を一直線に眺められ、まさに圧巻の一言です。
大聖堂の屋根裏にイベントホール?屋根の隙間を活かしたもう一つの顔
ワシントン大聖堂の7階部分はツアー客を除いて一般開放されていて、そこからワシントンD.C.一帯を展望することができますが、その奥は立ち入り禁止になっていて普段は入ることができません。
そのエリアは大聖堂の屋根裏にあたる部分で、そこにはイベントホールと倉庫、そして大聖堂の中央にそびえる塔の真下へと続いています。
このエリアには屋根裏を活かしたスペースがいくつかありますが、中でも見どころなのは屋根と大聖堂の天井を支える構造が手に取るように見られるのと、中央にそびえる塔の内部にある様々な遺物です。
屋根と天井を支える構造には様々な材料が使われていて、屋根の内側は赤レンガで補強、そこに鉄骨の梁を通すことで、大聖堂の急勾配の屋根を見事に支えているのを間近で観察できる場所はなかなかないので、ワシントン大聖堂を訪れた際にはぜひ参加してみてくださいね。
そしてもう一つの見どころは中央にそびえる塔の内部にある建設員が残した遺物で、建設作業の合間に飲んでいたワインが並べられています。また、2011年の地震で倒壊した大聖堂の復旧の様子が記録されたパネルも見逃せません。
ツアーのクライマックスは外へ、フライングバットレスを間近に眺める
塔の見学が終わるとツアーはいよいよクライマックスへ、外から大聖堂の屋根を間近で見学します。大聖堂の屋根は青銅でできていて、1枚1枚をよく観てみると建設した人の落書きが刻まれていたりするので、ツアーに参加した際にはじっくり観てみてください。
また、ここで見逃したくないのがやはり大聖堂を支える梁で、フライングバットレスと呼ばれるものです。このフライングバットレスとはもともと高い大聖堂の壁が倒壊しない様に外側から梁をかけて支える構造で、そこに装飾が施される様になった結果、現在ではデザイン性に優れた大聖堂建築の一つの要素になっています。
ワシントン大聖堂のフライングバットレスは梁自体はシンプルでありながら、外側にある柱の頂点には細かい彫刻が施されているのが特徴なので、構造を観察するにはうってつけのデザインと言えます。
扉を超えてもう一つの大聖堂へ
立ち入り禁止の扉の向こうには大聖堂を影で支える様々な建築要素があり、ツアーに参加することで間近で観察できます。
ツアーに参加するには現地のデスクで申し込むこともできますが、非常に人気があるので当日券は完売していることが多いです。そこで事前に公式サイトから希望の日時を選んでオンライン購入しておくことをおすすめします。
ワシントン大聖堂に行った際には、ぜひ扉の向こうも覗いてみてください。