アメリカの国会議事堂に当たる合衆国議会議事堂は、中央に鋳鉄製の巨大なドームと南北に伸びる構造からなる荘厳で美しい佇まいで、外から眺めるだけでも圧巻ですが、一般の観光客も議事堂の内部に入ることができます。
建物の中央に広がる円形の広間や、数々の彫像が並ぶ国立彫像ホールなど、見ごたえ抜群の場所になっていますので、ワシントンD.C.を訪れた際には是非とも立ち寄っておきたいところです。
円形ドームを支える地下空間
議事堂にある巨大な円形ドームの地下にはそれを支えるクリプトと呼ばれる空間があります。
そこには40本のドーリア式の柱が円形に配置され、中央にはワシントン市の住所の起点であることを示す真鍮製の羅針盤が埋め込まれています。
なお、この空間は大統領就任式の際、新旧の大統領をはじめとした要人がウエストフロントの特設ステージに向かう際に通る場所で、一般見学者も同じ場所に立つことができます。
また、クリプトから上層階に向かう際には就任式を終えた後に新大統領が通る中央階段を登って巨大な円形広間に向かいます。
巨大な絵画の数々と華麗な装飾が特徴の円形広間
合衆国議会議事堂を象徴する中央のドームの下にはロタンダと呼ばれる巨大な円形の広間があります。
ドームは二重構造になっていて、外側が鋳鉄製なのに対して、内側のドームは大理石で作られています。そこに施されている装飾は古代ローマのパンテオンを彷彿とさせるデザインですが、細部にわたるまで細かいデザインがあしらわれていて、華やかな印象を与えています。
内側のドームの頂点は空洞になっていて、そこから外側のドームを支える助骨材から吊るされた天井画を見ることができます。
そこにある絵画は初代大統領ジョージ・ワシントンを賛美したもので、システィーナ礼拝堂にある天地創造を思わせるような神聖なオーラを放っています。
ロタンダの壁に目を移すと、そこにも巨大な絵画が多く掲げられています。独立戦争に勝利した際の凱旋パレードの様子など、合衆国建国にまつわるものになっていますが、中でも外せないのが独立宣言採択の様子を描いたものです。
学校の教科書でおなじみのこの絵画は、初代コネチカット州知事のジョン・トランブルによって描かれたもので、『独立宣言への署名』というタイトルです。
円形広間の南にある旧下院本会議場
ロタンダの南側には半円形の巨大な空間があります。そこは1857年まで下院の本会議場として使用されていた場所で、現在は国立彫像ホールと呼ばれています。
そこには全米50州から寄贈された彫像があります。各州から2体ずつ寄贈されていますが、計画当初は全部の彫像がこのホールに置かれていて、あまりにも数が多く景観を損ねていたため、1933年に議事堂内に移し替える法案を採択し、現在の姿になっています。
現在、彫像は各州によって入れ替えが認められていて、新しく寄贈された彫像はロタンダで除幕式が行われ、その後6ヶ月間はそこに展示されることになっています。
ホールに寄贈される彫像は各州から2体ずつと決められていますが、合衆国議会は2005年12月1日に特別法を可決し、ローザ・パークスの彫像を取得して彫像ホールの東側に設置しました。
ロタンダの東にある開かずの扉
ロタンダの東にはイーストフロントへとつながる出入口がありますが、そこは大統領就任式を終えた際に新旧の大統領が通る際に使われる扉になっています。
そのほかには大統領が議会に出入りする際に用いられるだけで、普段は使われることのない開かずの扉です。
ツアーが終わり、ビジターセンターに戻る時に通るので是非注目してみてください。
見所満載の議会見学ツアー
外から眺めるだけでも美しい合衆国議会議事堂の建物ですが、中に入ると更に美しく、歴史とロマンに溢れる空間が広がっています。
議会の見学ツアーは無料で参加できますので、ワシントンD.C.を訪れたら是非参加しておきたいツアーです。
見学ツアーは予約なしでもビジターセンターで整理券をもらって参加することができますが、インターネットで事前に予約できるので、予約してから行くことをお勧めします。