ワシントンD.C.からポトマック川を渡った先はヴァージニア州アーリントン市になっています。
そこには国立墓地があり、国家に自らの命を捧げた軍人を始め、数多くの偉人が眠っています。墓地というと日本人にとってあまりいいイメージがないことが多いですが、アメリカ人の墓地に対する価値観に触れながら、アーリントン墓地の見どころと訪れる際の注意点を紹介したいと思います。
アメリカ人にとって墓地は気軽に訪れる場所
墓地というと日本人は召天者を偲ぶ場所として、家族以外が立ち入ることはほぼありませんが、アメリカ人にとって墓地は召天者を偲ぶ場所という考えは同じですが、「誰でも気軽に召天者に想いを馳せることができる場所」という考えがあります。
そのため、墓地は場所によっては観光地化されていて、誰でも気軽に入ることができます。アーリントン国立墓地もその一例で、広大な墓地の入口にはビジターセンターが設けられているほか、敷地内にはトラムが走っていて、広大な墓地を効率よく回ることができます。
アーリントン墓地の歴史とケネディ大統領の墓
アーリントン墓地がある一帯は南北戦争時代、南軍のリーダーであったロバート・エドワード・リーの邸宅があった場所でした。しかし、ポトマック川を渡った先は北軍の地域だったため、リー将軍一家が邸宅を引き払った後、戦没者が埋葬されたのが始まりとなっています。
リー将軍一家が生活していた邸宅は現在、アーリントンハウスと呼ばれ、その手前には第35代大統領のジョン・F・ケネディと妻のジャクリーンの墓があります。
墓の奥には凶弾に倒れた夫を偲んで、妻のジャクリーンによって灯された永遠の炎を観ることができます。
ケネディ大統領の墓がある場所から後ろを振り返ると、ポトマック川を挟んでワシントンD.C.を一望できます。市民に愛された大統領が今日も合衆国の首都を見守っていることを想うと、感慨深いものがありますね。
無名兵士の墓と衛兵交代式
ケネディ大統領の墓がある場所からトラムで移動し、次の停留所を降りた先には無名兵士の墓があります。そこにはベトナム戦争で犠牲になった兵士が埋葬され、墓の前では24時間耐えず衛兵によって守られています。
衛兵の交代は毎正時に行われていて、その時間帯に行けば誰でも立ち会うことができます。衛兵交代式が行われている間、写真撮影はできますが、沈黙を保つようアナウンスされますので、スマートフォンなど撮影の際に音が出るものに関しては、動画モードで撮影すると良いでしょう。
ただし、ここで行われている衛兵交代式は墓地に眠る名も無き兵士のためのものですので、敬意をもって臨むことをお忘れなく。
アーリントン墓地がある場所
アーリントン墓地はワシントンD.C.の代表的な観光名所であるリンカーン記念堂の西に架かるメモリアルブリッジを渡った先にあります。
地下鉄の最寄駅はブルーラインのアーリントン墓地駅ですが、駅がある場所はポトマック川にほど近い、メモリアルブリッジの端にあるので、駅から墓地まではある程度歩く必要があります。
そこでオススメしたいのが現地発のツアーです。日本から予約できるツアーでアーリントン墓地に行くコースはユニオン駅から出発、解散するので大変便利ですし、ほとんどのパッケージにはアーリントン墓地のほか、ワシントン市内の主な観光地を始め、古都アレクサンドリアや、初代大統領ジョージ・ワシントンが半生を過ごしたマウント・ヴァーノンにも立ち寄るものもあるので、一つのツアーに参加するだけでアメリカの歴史を体感することができてしまいます。
日本人には馴染みづらい墓地ですが、思い切って参加してみるとまた違ったアメリカを観ることができますよ。