日本からワシントンD.C.にアクセスする際、多くの方は直行便があるダレス国際空港を利用するか、乗り継ぎの場合はレーガン・ナショナル空港を利用することでしょう。
しかし、ワシントンD.C.の周囲には魅力的な街がたくさんあり、それらの街を訪れる際や、そこからワシントン市内にアクセスするには鉄道が交通手段の一つになります。
そこで利用することになるのがユニオン駅です。今回はワシントン市のターミナル駅であるユニオン駅と、そこから発着するアムトラックの魅力に迫ります。
ワシントンD.C.最大にして唯一のターミナル駅
ワシントンD.C.といえば言わずと知れたアメリカ合衆国の首都で国際都市ですが、そのイメージとは裏腹に巨大なターミナル駅はユニオン駅のみです。日本の首都、東京には東京駅はもちろん、品川、上野、新宿、池袋など、巨大なターミナル駅がいくつかありますが、ワシントンD.C.には1箇所しかありません。
鉄道を利用する際、迷わなくて済みますが、駅まで行くには地下鉄を乗り継ぐかバスなどを利用しなければなりません。アメリカは国土が広いので、鉄道よりも飛行機が発達していて、同じ東海岸の都市に行くにしても、大抵の場合は飛行機を使うことになるため、駅の数が少ないと言えるでしょう。
アムトラックで周辺の街へエクスカージョン
ワシントンD.C.の周辺には建国当時の面影を残す古都アレクサンドリアや、国歌が生まれた街にして、野球好きにはたまらないベーブ・ルース生誕の地であるボルティモア、独立宣言が採択されたフィラデルフィアなど、魅力的な街がたくさんあります。
それらの街に行くにはユニオン駅からアムトラックを利用するのが便利です。アムトラックの鉄道網は全米に広がっていますが、自社の路線はワシントンD.C.とボストンの間を結ぶ路線のみで、そのほかはすべて貨物用の線路を利用して全米の各都市に乗り入れています。
アムトラックの乗車の仕方は日本の鉄道とほぼ同じですが、若干違う点もありますので、ここからは乗車の流れを紹介します。
乗車券は日本から予約できる
乗車券は当日カウンターで購入することもできますが、慣れない海外で余計な心配をするよりも日本であらかじめ買っておくことをおすすめします。
アムトラックの公式サイトにアクセスし、行き先と日付、乗車人数を入力して検索すると検索結果にアムトラックの便が表示されます。この辺りは飛行機や新幹線の予約システムに似ていますので、戸惑うことはないでしょう。
検索結果の中から、希望の電車を選択して、購入手続きに進みます。その際、オプションで旅行保険にも加入することができます。アメリカの鉄道は日本の鉄道ように正確に発着することはほぼないので、保険に加入しておくのも賢い選択肢です。
チケットを持って乗車するホームの入り口付近へ
日本ではチケットを買ったら改札を通ってそのあとで乗車するホームに向かいますが、アムトラックの場合、改札のゲートがないのでチケットを持って案内板に表示されているホームの入り口付近に向かう必要があります。
ホームの入り口付近に着いたら、列に並んで係りの人がくるのを待ちます。自分の番が来たらチケットを見せて係員が案内する乗車口を覚えておきます。
電車の到着時刻が近くなるとホームに入ることができます。アムトラックは改札ゲートがないので、ホームに入れるのはチケットを持った乗客のみで、見送りの方はホームの入り口で見送ることになります。
ホーム入場から乗車まで
ホームに入ったら係員に案内された乗車口に向かい、電車が到着するのを待ちます。電車が到着したら車掌に再度チケットを見せて乗車しますが、座席は基本自由なので、お好みの席を選んで座ると、出発後に車掌が来てピンクの紙を収納棚に挟んでくれます。
ちなみに、目的地に到着するまでに座席を移動する場合は必ずピンク色の紙を持って移動してくださいね。
到着時から下車まで
目的地付近に近づくと車掌がピンク色の紙を回収しに来ます。電車がホームに入線し、完全に停車したら下車し、そのまま外に出ることができます。
日本の電車のように停車時間が短くなく、複数の係員が目でチェックしているので、慌てず行動することができます。また、移ろいゆくアメリカの景色を眺めながら駆け抜ける鉄道旅は、飛行機ではなかなか味わうことのできない魅力の一つです。
観光の拠点としてのユニオン駅
ユニオン駅からは合衆国議会議事堂を有するキャピトル・ヒルに徒歩で行くことができます。また、駅構内には乗り降り自由のバスチケットを販売している旅行会社や、バスターミナルでは長距離バスで有名なグレイハウンドが運営しているツアーも販売していますので、各種ツアーに参加するにはユニオン駅を利用することになります。
ツアーは当日購入することもできるが、予約は日本で
アムトラックのチケット予約と同じように、観光ツアーのチケット購入も現地でできますが、希望のツアーが売り切れていたり、人数が足りなくてツアーそのものが催行されない場合もありますので、できるだけ日本にいるときにあらかじめ予約しておくことをおすすめします。
日本から予約する場合、ツアーの催行会社に関係なく、一括で予約することができますので大変便利な上、ツアー開始時の集合場所も地図で表示されますので、余計な心配をすることなくスムーズにツアーに参加することができます。
ショッピングやフードコートも充実
ユニオン駅はワシントンD.C.の玄関口にして、観光の拠点にもなっていますが、駅構内にはH&Mなどのアパレルや大手スーパー、ウォルグリーンなどのショッピング施設と、フードコートが入っていて、駅でありながら一つのショッピングモールとしての顔も併せ持っています。
ユニオン駅には地下鉄を除いて改札ゲートがなく、これらの施設には誰でもアクセスできますので、交通機関を利用しない場合でもショッピングやダイニングを愉しむことができます。
駅であるにも関わらず、誰でも駅ナカを愉しめるのもアメリカならではの魅力です。
ユニオン駅周辺の治安
駅としての機能の他に観光やショッピングも愉しめるユニオン駅ですが、ちょっとだけ気をつけておきたいのが治安です。
ユニオン駅がある場所は合衆国議会議事堂の北側で、昼間はさほど治安を気にする必要はありませんが、夕方の帰宅ラッシュごろになると駅構内にも物乞いが集まってくるので、あまり長居しない方が良いです。
また、ユニオン駅があるのは北東区なので、用事がない場合はあえて立ち寄らないのも賢い選択と言えるでしょう。
暗くなってからの治安があまり良くないとはいえ、そこは多くの人が行き交う駅ですので、周りの人に溶け込むことで、ほぼ回避することができます。日本人が被害に遭いやすいのはスリや置き引きなどの盗難がほとんどなので、持ち物に気を配り、日本ではないという意識を常に持っておけば、さほど気にする必要はありません。
ワシントンD.C.を訪れたらまずはユニオン駅へ
ワシントンD.C.の陸の玄関口にして観光、ショッピングの拠点でもあるユニオン駅は快適なDC滞在を愉しむためには必ず寄っておきたい場所です。
駅を起点に各種ツアーに参加したり、そこから鉄道で周辺の街に出かけたりと、使い方はあなた次第、ユニオン駅を大いに活用することでD.C.旅行をより充実したものにすることができます。
ただし、海外旅行全般に言えることですが、夜間は身の回りに気を配って行動しましょうね。