2016年9月、ワシントンD.C.のスミソニアン博物館群に、新しい博物館が仲間入りしました。「国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館」です。独特なデザインの外観が目を引き、リフレクティング・プールのような景観の場所やこだわりのある内装も見られ、ワシントンD.C.の名所となりました。
4階建ての建物に地下4フロア展示スペースがあるという巨大な博物館で、数々の遺品や写真、映像作品を交えながら展示されているため、見応え抜群の観光スポットと言えます。
アフリカ系アメリカ人に関する唯一の国立博物館
この博物館は「アフリカ系のレンズ越しに」をスローガンとして掲げ、アメリカの歩みをアフリカ系アメリカ人の視点から観ることで、白人主流派だったアメリカの歴史を再構築することを理念として建設されました。15世紀にヨーロッパ諸国の植民地となっていた時代から、現代に至るまでのアフリカ系アメリカ人の社会情勢や歴史などに関わるものが主な展示品です。地下から3フロアにわたって、時代ごとに歴史を学べるエリアは、博物館で一番の見どころとなっています。
併設されているカフェテリアのメニューも、アメリカ各地で食べられているグルメを中心に組まれています。また、例えばお花見の時期であればお花見をテーマにしたメニューというように、時期に合わせた限定メニューも登場します。
功績が多いアフリカ系アメリカ人
そもそも、アフリカ系アメリカ人とは
アメリカ合衆国民の中で、アフリカを出身地とする黒人とその子孫のことをアフリカ系アメリカ人と言います。現在は大半の人が、奴隷貿易でアメリカに連れてこられた人々の子孫です。以前は人種差別の対象とされ、簡単には想像がつかないであろう苦しい時代を過ごしてきました。時代が進むにつれて人種差別を撤廃する運動が行われるようになっていき、だんだんと人種の壁がなくなっていった今、社会進出が進み、有名な俳優やスポーツ選手などにとどまらず、多くの官僚も輩出されるようになりました。
バラク・オバマ元大統領もアフリカ系アメリカ人
2009年に第44代合衆国大統領に就任したバラク・オバマ氏も、アフリカ系アメリカ人です。初のアフリカ系大統領というだけでなく、有色人種としても初、ハワイ生まれでも初という偉業を成し遂げました。敏腕さでアメリカ合衆国の諸外国における評価を底上げし、国内外で高く評価されています。
アメリカを知るには外せない博物館
奴隷制度や公民権運動など、アフリカ系アメリカ人が関わっている歴史的事象は多くあります。この博物館を訪れることで、より深くアメリカについて知ることができるでしょう。