植民地時代から続くチェサピーク・オハイオ運河は、ポトマック川を活かし、チェサピーク湾と内陸部を結ぶ重要な輸送路でした。しかし、時が経つにつれて交通手段が発展し、運河はその役目を終えました。都市機能や公園として整備される中で、ナショナルモールの美化が進み、川幅も変わりました。その中で、最も古い建物であるロックキーパーズ・ハウスは、建国当時の趣を今に伝える奇跡的な存在となりました。
首都の中心部にある古い建物
ワシントンD.C.には歴史的建造物がたくさんあります。その中にホワイトハウスからリンカーン記念館に向かう途中に、古い建物がポツンと建っていますが、それは今は埋め立てられている都市水路の、閘門管理小屋だったロックキーパーズ・ハウスと呼ばれる建物です。
植民地時代から交易の中心を担ってきたチェサピーク・オハイオ運河
輸送路として南東に流れるポトマック川を利用し、チェサピーク湾と内陸部を結ぶチェサピーク・オハイオ運河が建設され、物流の要として発展していました。
しかし交通整備や鐵道やトンネルの普及などで役目を終えた運河は廃止され、首都としての都市機能や、市民の憩いの場としての公園などを整備していく上で、ナショナルモールの美化が進められたこともあり、ホワイトハウス前の公園やモール周辺の建造物も整備されていきました。
それに伴い、ホワイトハウスの南側あたりまであったポトマック川の川幅は現在の形にまで狭められ、ロックキーパーズ・ハウスはその役割を終えました。
ナショナルモールの中で最も古い建物、ロックキーパーズ・ハウス
都市開発によって建国当時の面影を観ることはできませんが、ロックキーパーズ・ハウスは奇跡的にも原型をとどめた形で残されました。ワシントンD.C.の都市部が整備される前から建っている歴史的建造物が観られるのは貴重ですね。
運河が果たす新しい役割
ロックキーパーズ・ハウスは、運河を運営管理する人が建てて使用していた管理小屋です。そんな運河沿いには現在でも閘門がたくさん有り、残されているいくつかの閘門では、管理所などを再建し公園として使用しているところがあります。
ワシントン市北西部のジョージタウン地区では現在も水が通されていて、夏の間は遊覧船ツアーが開催されています。運河の目線から建国当時の面影を残した街並みを眺めながら、悠久の時に思いを馳せることができるでしょう。