オランダが生み出した美術界の巨匠、ヨハネス・フェルメールの作品は国内外で不動の人気を誇り、一度企画展が開催されると混雑必至で一つ一つの作品をじっくり鑑賞することが困難なほどです。
2018年から2019年にかけて東京と大阪を巡回した展覧会では、入場制限を設け日時指定の鑑賞となったほどです。
フェルメールの作品はこの世にたった35点しかないと言われていて、その希少性も相まって多くの人の心を惹きつけています。
今回はワシントンD.C.のナショナリギャラリーで公開されているフェルメールの作品4点を紹介します。
ナショナルギャラリーで公開されている4点の作品
この世にたった35点しかないと言われているフェルメールの作品のうち、ナショナルギャラリーでは4点もの作品が公開されています。
全ての作品は西館メインフロアのギャラリー50Aに展示されていて、そこでじっくりと鑑賞できます。
ではここからはナショナルギャラリーに収蔵されているフェルメールの作品を紹介していきます。
『天秤を持つ女性』
フェルメールの作品のほとんどは彼のアトリエが舞台となっています。アトリエには光を自在に操る仕掛けがあるのですが、作品の左上から差し込む光は自然の光がそのまま差し込んでいるのではないことをご存知でしょうか?
こちらにある窓には光を操る仕掛けが施されていて、窓ガラスの一部が故意に割られているのです。もし、窓ガラスが割られていない場合、ここに差し込む光はもっと暗くなり、逆にガラスが全くない場合は自然の光が差し込みすぎて明るくなりすぎてしまいます。
このようにフェルメールは光を自由に操り自らの作品に取り込むことで、今日でも観る人の心を魅了しています。
『フルートを持つ女性』
こちらの作品は『天秤を持つ女』とは対照的に右側から光が差し込んでいて、同じアトリエでありながら、あたかも全く違う場所で描かれたかのような作品に仕上がっています。
作品の中の女性が着ている緑色の服は、フェルメールが好んで使った青と黄色を混ぜて作られています。ここで注目していただきたいのが光が当たっている服の右側と左側の対比で、光が当たっている右側では服の質感を陰影で表し、逆に左側では光がほとんど当たっていないので、ほぼ真っ暗に仕上げられています。
『手紙を書く女性』
こちらの作品は『天秤を持つ女』と同様、左から光が差し込んでいる作品になります。
着ている服やアクセサリーなどから、高貴な人物であるとみられ、手紙を書いている女性が何かに気を取られ、優雅にこちらを振り向いている姿がとても印象的です。
女性が着ている服は青色と同様、フェルメールが好んで使った黄色で、光が当たっている前の部分と背中の部分の対比に注目しておきたいです。
『赤い帽子の女性』
鮮やかな赤い帽子と青い服が特徴的なこの作品は、2018年から2019年にかけて上野で開催された際、期間限定で展示され、多くの日本人を魅了しました。
この作品に使われている青色はフェルメールが好んで使った色であることから、フェルメールブルーと呼ばれています。フェルメールブルーで有名な作品として『真珠の耳飾りの女』や『牛乳を注ぐ女』などがありますが、こちらの作品はこれらと比べて赤い帽子を引き立てるため、控えめでありながら確かに青色がそこに存在していることが観てとれます。
ワシントンD.C.でフェルメールの絵画を鑑賞
光の魔術師と呼ばれるフェルメールの作品はこの世にたった35点ほどしかなく、ワシントンD.C.のナショナルギャラリーではこのうち4点もの作品を観ることができます。
世界中に散らばっているフェルメールの作品ですが、4作品を一緒に常設しているところはナショナルギャラリーくらいではないでしょうか?
ファルメールが好きな方はもちろん、ナショナルギャラリーは全ての美術愛好家にとっての美の殿堂です。