アメリカ合衆国の首都、ワシントンD.C.には、多くの観光名所がありますが、一方で、あまり多くの人に知られていない穴場スポットもたくさんあります。
今回は、そんなワシントンD.C.の穴場スポットの一つである、ヒルウッド美術館を紹介します。美術品や庭園、建築、歴史的価値を兼ね備えたこの場所は、訪れた人々を魅了してやまない魅力的なスポットとなっています。
ヒルウッド美術館の概要と歴史
ヒルウッド美術館は、アメリカの実業家であるマーガレット・メリウェザー・ポストが所有していた邸宅を寄贈し、1997年に開館しました。邸宅内にはポスト家の装飾美術品や家具、陶磁器、銀器などが展示されています。また、19世紀から20世紀にかけてのヨーロッパの美術品や、アジアの美術品、ロシアの美術品、アメリカの絵画や彫刻、宝石なども豊富に展示されています。
美術品とコレクションの魅力
ワシントンD.C.にあるヒルウッド美術館は、ロシア帝国からヨーロッパの宮廷まで、幅広いコレクションを誇る美術館です。訪れるなら、ぜひ見逃せない展示品を紹介しましょう。
まずは、18世紀フランスの画家ジャン=マルク・ナティエによる「パルマ公妃と娘の肖像」。美しく柔らかい表情の母娘が、見る者を魅了します。また、ロシアの女帝エカチェリーナ2世の全身像である「エカチェリーナ2世の肖像」も見逃せません。ロシアの華やかな装いをまとった女帝の横顔は、迫力に満ちています。
さらに、ルイ16世やマリー・アントワネットに仕えた家具職人ジャン=アンリ・リーゼナーによる「引き出し付きの箪笥」は、装飾的なデザインが特徴的です。また、ロシアの宮廷画家カール・ブリューロフによる「サモイロワ伯爵夫人と養女の肖像」も必見です。2人の女性が描かれたこの作品は、美術館の中でも人気の高い絵画の一つです。
また、1883年に描かれたコンスタンチン・マコフスキーの「貴族の結婚式」は、ロシアの民族衣装をまとった人々が描かれた賑やかな絵画です。また、ロシア皇帝ニコライ2世から母親のマリア・フョードロヴナに贈られた2つのファーベージェの御所内製品「帝国の復活祭の卵」も鑑賞すべき価値があります。
ヒルウッド美術館には、絵画以外にも美術工芸品や宗教的な品々も所蔵されています。例えば、1730年代に制作されたタペストリーや、エカチェリーナ2世がコレクションしたテーブルウェア、正教会のイコンや器具、珍しいレースのテーブルクロス、ウェッジウッド家の家具などがあります。
また、美術館内にはロシア美術に関する展示室が設けられており、ヴィクトル・ヴァスネツォフ、イリヤ・レーピン、ヴァシーリー・ペローヴ、クズマ・ペトロフ=ヴォーデキン、イヴァン・シシュキン、コンスタンチン・コロヴィン、ミハイル・ヴルーベリ、ボリス・クストディエフといったロシアの画家たちの作品が展示されています。特に、ヴルーベリの「ワルラーム・アレクサンドロヴィチとグリゴリー・アレクサンドロヴィチ・ポトレービン」や、レーピンの「ワシリー・シローコフの肖像」は、必見の作品です。
庭園の見どころと日本庭園の美しさ
ヒルウッド美術館の庭園には、アメリカの庭園デザインの歴史を代表するものが多数あります。その中でも、日本庭園は美しく、訪れる人々を魅了しています。日本庭園は、橋や小さな滝、石庭、そして美しい植物が配置されており、美しい景色を楽しむことができます。
ヒルウッド美術館の建築と歴史的価値
ヒルウッド美術館は、ワシントンD.C.の北西区にあるジョージアン様式の邸宅で、実業家マーガレット・ポストによって所有されていました。ワシントンD.C.で最も美しい家の1つとして知られるこの建物は、1920年代にデロス・A・ブロジェット・ジュニアの妻であるマリオン・ブロジェットによって建てられたもので、マーガレット・ポストが購入した後、建築家のアレクサンダー・マクイルベインによって改装が行われ、美術品の展示に適したスペースが作られました。
ナショナルモール周辺にはない、もう一つの魅力
美術品や庭園、建築など、さまざまな要素を兼ね備えたヒルウッド美術館は、アートや歴史、自然が好きな人には必見のスポットです。
ワシントンD.C.を訪れた際には、是非とも足を運んでみてはいかがでしょうか。